22年版の山賊たちは勤勉だ-。西武が大逆転勝利でオリックスとの開幕カードを勝ち越した。3回までに6点ビハインドも、4回からリリーフ陣が0でつなぎ、5回から追い上げ開始。6回に山川穂高内野手(30)の特大2号2ランなどで1点差に迫り、8回に森友哉捕手(26)が逆転の2点適時二塁打を決めた。10年ぶりにリーグ優勝し「山賊打線」の呼び名がついた18年のような破壊力を見せつけたが、どんな場面でも手を抜かないプレーも見逃せない。

【ニッカン式スコア】27日の西武-オリックス戦詳細スコア

森は二塁ベース上で控えめに右手を挙げた。「もっとはしゃぎたいけど、そういうタイプでもないんで」。8回1死二、三塁で右中間へ逆転の2点二塁打。直前、山川の左飛をオリックス吉田正が目測を誤り、二塁打となるラッキーもあった。お膳立てした山川は「誰がどう見ても、みんな(森は)打つと思ってました」と笑った。押せ押せムードで昨季王者をのみこんだ。

先発渡辺が3回までに6失点。打線は4回まで無安打。敗色濃厚でベンチは沈んで…いなかった。平石打撃コーチが「普通に行こう!」とハッパをかける。5回先頭、山川のチーム初安打で追い上げ開始。6回には山川が左翼上段へ2ランをたたき込んだ。ド派手に打ち勝ったように見えるが、そこにつなぐ渋い働きも見逃せない。6回先頭の9番源田は8球粘って四球をもぎとりチャンスメーク。8回は、先頭オグレディが四球の後、次打者の中村の遊ゴロで二塁へ全力疾走。滑り込んで結果的に二塁安達の悪送球を呼び、併殺を逃れる。そこから、山川のラッキー二塁打と森の決勝打が生まれた。

辻監督は「源田も打ちたい気持ちが大きいと思うけど、四球は大きかった。(オグレディの走塁は)チームのモットー。必死に走る姿から勢いが出てくる」と評した。オグレディは6回の二塁打で来日初打点もマーク。入団が決まると、こう宣言したという。「メジャーリーガーはポストシーズンしか必死にやらないと思われるかも知れない。俺はレギュラーシーズンから必死にやる」。

チーム196本塁打した18年に「山賊打線」と呼ばれた。だが昨季は112本まで減った。指揮官は開幕前「昔みたいにガンガン打って、山賊だの、何点でも、とはいかない」と冷静に分析。「つなぎ」を掲げる。果たして、1発あり、つなぎありで勝った。「鳥肌ものですよ。(18年のような)勢いがあったね」。再び頂点へ。山賊たちは手を抜かない。【古川真弥】

▽西武栗山(5回に右越え適時二塁打で追い上げ開始)「まずは1点返せて良かったです」

▽西武オグレディ(6回、左越え適時二塁打で来日初打点)「源田と鈴木が作ってくれたチャンスを、しっかりと生かせたことが何よりうれしいよ」

▽西武渡辺(先発で3回6安打6失点、自責4)「バッティングカウントで打たれたのは、全部甘い球でした。有利なカウントで試合を進められなかったのが原因だと思います」