阪神が今季両リーグ最長の4時間53分の激闘を演じ、3-3の執念ドローに持ち込んだ。リリーフ7投手で0のバトンをつなぎ中でも健闘が光ったのは、新守護神の湯浅京己(あつき)投手(22)だ。10回からの2イニングを無安打0封。初の回またぎも難なくこなし、登板5試合連続無失点と抜群の安定感だ。1勝止まりで最下位に沈むが希望はある。今は我慢の時。きょうこそ湯浅のプロ初セーブでスカっと快勝したい。

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新守護神の湯浅がまたも大仕事だ。3-3の同点の延長10回に7番手で登板。難なく3人で封じ、圧巻は2イニング目の11回だ。先頭上本にファウルで粘られ、15球を要して四球を選ばれた。バントを試みた堂林の打球は投手の前に転がった。「バントの構えをしている時から、セカンドで殺すつもりでずっと投げていた。『いける』と思って、迷わずいきました」。すかさず二塁へ送球。1-6-4の併殺を完成させ、傾いた流れを断ち切った。

見事にリベンジを決めた。最後の打者は西川。1点リードの1死満塁のピンチから登板した3月29日の広島戦で、サヨナラ打を許した相手だった。「自分の中でやり返すという思いがありましたし、結果的に三振取れてよかったです」。外角にあらん限りの150キロ直球をバシッと決め、見逃し三振にねじ伏せた。

2回を投げ無安打無失点と圧倒。初の回またぎにも全く動じなかった。「ブルペンの時からあるかなと思っていた。不安はなかった。しっかり自分のやるべきことをやるだけだなと思って」。冷静に心の準備をし、結果につなげた。

課題の中継ぎ陣が踏ん張った。5回から登板した桐敷、浜地、小川、アルカンタラ、岩崎、湯浅、馬場と7人で「0」リレーを続けた。矢野監督は「どの状況もみんな苦しい場面やったけど、精いっぱい攻めていってくれた」と評価。「1人1人がまだポジションが確立されていないピッチャーが多い中で、こういうゲームをしていけばね、勝てると思う」とたたえた。

湯浅は4月6日のDeNA戦で無死三塁の大ピンチから無失点に切り抜けるなど、2試合連続の抜群投球。矢野監督は「素晴らしい投球と気持ちだった」と絶賛した。5試合すべて無失点。虎の若き守護神が堂々とマウンドを守っている。【古財稜明】

◆湯浅京己アラカルト

▼生まれ 1999年(平11)7月17日生まれ、三重・尾鷲市出身。

▼球歴 尾鷲小4年から尾鷲野球少年団で野球を始め、尾鷲中では伊勢志摩ボーイズに所属。聖光学院2年の冬に内野手から投手に転向。3年夏の県大会は背番号18でベンチ入りも、甲子園ではメンバーを外れた。18年にBC・富山に所属し、同年ドラフト6位で阪神入団。

▼目標 18年にBC・富山で監督を務めていたヤクルト伊藤智仁1軍投手コーチ

▼座右の銘 「雲外蒼天」。高校時代から大切にしている言葉で、グラブに刺しゅうを入れている。

▼故障 19年6月に腰椎を疲労骨折。同年9月に再発。20年6月にも再発。21年高知・安芸キャンプで右ハムストリングを肉離れなど。

▼球種 最速153キロの直球、スライダー、カットボール、フォーク

サイズ 183センチ、81キロ。右投げ右打ち。

○…阪神が延長12回の末、引き分けた。12試合目で1勝10敗1分けの借金「9」となり、ヤクルトが勝ったためセ・リーグの借金をすべて背負う形となった。リーグの借金をすべて背負ったのは、20年7月2日以来。ただ、この年はその後巻き返し、最終的には貯金7で2位となっている。