呪縛は解いた。広島菊池涼介内野手(32)が敗戦の中で同点打を含む猛打賞と気を吐いた。

6回に悪い流れを断つ同点打は、松山でのヤクルト戦として12年4月14日の7回以来26イニングぶりの得点となった。チームは終盤に勝ち越しを許し、鬼門を打ち破れず、連勝も止まった。それでも開幕から続けるつなぎの野球と泥臭い姿勢で、明日の戦いに希望を見いだした。

【ニッカン式スコア】12日のヤクルト-広島戦詳細スコア

左翼への低いライナーが呪縛を切り裂いた。0-1の6回2死二塁。菊池涼がサイスニードの真っすぐを引っ張り、同点に追いついた。チームにとっては松山でのヤクルト戦では、12年4月14日の7回以来26イニングぶりの得点となった。前回の15年4月15日も、チーム5安打の中でマルチ安打を記録した菊池涼が、負の記録に終止符を打った。

「つないでチャンスをつくってくれたので、同点となる安打になって良かった」

つないで得た少ない好機をものにした。ヤクルトには昨季8勝14敗3分けとセ・リーグで唯一負け越し。松山でのヤクルト戦に限れば3連敗中だった。この日は先発サイスニードのテンポいい投球の前に沈黙していた悪い流れを一打で断った。

終盤に勝ち越され、引き分けを挟んでの連勝は3で止まった。松山でのヤクルト戦は4連敗。首位から陥落した。ただ、下馬評が低かった中での好スタートに、慢心などひとつもない。体現しているのは菊池涼だ。1回チーム初安打をヘッドスライディングでもぎとった(遊撃内野安打)。6回、同点のホームを踏んだ上本もヘッドスライディングでの内野安打で出塁したものだった。

連勝ストップにも佐々岡監督は「明日勝つためにみんなでやっていきます」と前を向く。鬼門も、苦手も、今季の攻撃のようにコツコツと崩していけばいい。【前原淳】