新加入のリードオフマンが、絶好調の打撃で劇的勝利へと導いた。楽天西川遥輝外野手(30)が3点を追う9回2死一、二塁で、右翼へ同点3ランを放った。あと1死で敗戦から、起死回生の1発。延長11回サヨナラ勝ちの流れを引き寄せた。5回にも左前2点適時打を放ち、2安打5打点の活躍。打率3割3分3厘、28安打、5本塁打、7盗塁はいずれもチームトップ。首位快走の原動力になっている。

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西川の自身に対する“過小評価”が、最大限に発揮された。9回2死一、二塁のチャンスでも、冷静さを貫いた。「僕は基本的には打てると思っていない。なんとか後ろにつなぐという意識です」。1番打者として、いかにチャンスで主軸たちに回すか。ボール球を見極め、コンパクトなスイングでチーム打撃に徹する。カウント1-1から真ん中に入ったモイネロの149キロ直球を、いつも通り鋭くスイングした。狙ってはいなかったが、感触で同点弾を確信。ライナーで右翼席へ消える打球を見ながら、走りだした。

プロ野球選手としての仕事を-。この日は2万5602人の観客を動員した。楽天生命パークでは19年9月26日以来、947日ぶりの満員御礼となった。西川が打席に入ると、スタンドはピンク色の“西川タオル”で染まり、大きな手拍子で迎えられた。たくさんのファンから背中を押されて躍動した。「少し緊張しながらやっていたが、やっぱりお客さんが多いのはいいなと思った。そういった中で活躍するのがプロ野球選手」とうれしそうに笑った。

月間MVP有力の活躍も、おごらず感謝の心を持つ。「毎日いろいろな裏方さんやコーチに助けてもらいながら試行錯誤して。日本ハム時代もそうだが、楽天に来ても1年目から手厚くサポートしてもらっているのは、好調の要因の1つでもある」。ファンのため、スタッフのため、チームのため…。周りのことを常に思いやっているからこそ、ここ一番で力を発揮している。【湯本勝大】

○…楽天島内が「4番右翼」で先発し、通算1000試合出場を達成した。11年ドラフト6位で入団し、徐々に出場機会を増やし、不動のレギュラーへと成長。この日も2安打を放ち、通算933安打、84本塁打、437打点。「今まで我慢して使っていただいたので、いろんな方に感謝したいと思います」と引き締めた。

○…楽天浅村が試合を決めた。延長11回2死二、三塁、カウント2-2から津森の真ん中直球を右翼へ運ぶサヨナラ適時打。「追い込まれていたし、どの球種がくるかも分からない状況だったので、なんとか必死にいった」と執念の一打だった。直近10戦で打率4割、4本塁打、14打点と絶好調。波に乗り、ソフトバンクとのゲーム差を3に広げた。

▽楽天石井GM兼監督(19年9月26日以来の満員御礼に)「今日は絶対負けられないという気持ちがあった。最高の結果をファンの方にお見せすることができてよかったです」

【ニッカン式スコア】30日の楽天-ソフトバンク戦詳細スコアー>