阪神が鬼門のバンテリンドームで5連敗を喫した。4年連続負け越し中の同ドームで開幕から5戦5敗は10年以来、12年ぶりの屈辱。5番に山本泰寛内野手(28)を起用するなど大幅な打線改造も実らず。今季12度目の1点差負けだ。ナイター翌日のデーゲームが多い土曜日のチーム打率は曜日別最低の1割8分9厘。このまま眠ったままなのか。猛虎よ、目覚めてくれ!

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やっぱり虎は名古屋で勝てないのか…。今季最短の試合時間2時間23分。前夜は中日大野雄の前に完全試合寸前となる10回1安打完封負けを喫していたが、意地を見せることなく、あっさりと敗れた。矢野監督のため息は深かった。「状態のいい選手が少ないんでね。やっぱりチャンスで、点を取れそうなところで取らないと、今の全体の調子からするとやっぱりこんな展開になってしまう」。今季24敗目で1点差負けは、半数の12試合目。土曜日のチーム打率は曜日別最低の1割8分9厘とデータも追い打ちをかけた。淡々とイニングを重ねる現状にもどかしさが募る。

打線改造も実らなかった。19打席ノーヒットの大山を6番に下げ、佐藤輝を8試合ぶりに4番に据えた。3番には中野、山本をプロ初の5番に置いた。2回には佐藤輝の激走三塁打から大山の適時打で1点を刻んだが、その後が続かない。4回には無死一、二塁から山本の送りバントで二、三塁の好機をつくったが、大山が三ゴロ、さらに小野寺が空振り三振。チャンスのはずが、波に乗れない。

指揮官も頭が痛い。矢野監督は5番山本について打線のつなぎを意識した? と問われて「つなぎというか…」と考え込んだ。そして「ちょっと説明が難しい」と答えた。糸井がコンディション不良でベンチスタートが続く。大山が本来の調子を落とし、クリーンアップを組むことが困難になっている。脇を固める糸原、梅野、ロハスもそろって打率1割台。毎日のオーダー表に苦悩がにじむ。

指揮官は自身に言い聞かすように言った。「1人1人が状態を上げていくっていうことが、まずは先決だと思う。その中でも打順を変えたり、選手を代えたり、きっかけが欲しいところなんやけど、なかなかそういうのが見つかってこない。かと言って試合は待ってくれない」。8日の中日先発は柳。無抵抗にやられることだけは御免だ。【桝井聡】

○…阪神先発ウィルカーソンは5回2失点と粘ったが2敗目となった。1回は2死から3連打で先制点を許し、同点の3回には2死一塁から、ビシエドに左翼線へ決勝点となる適時二塁打を浴びた。「全体的に球が高くなってしまったし、相手打線にも球数を多く投げさせられてしまった」と、5回で94球を費やしたことを反省。4月16日巨人戦で初登板初勝利したが、その後3戦勝ち星から遠ざかっている。矢野監督は「良くない中でも、しっかりやってくれたと思う」と粘りを評価した。

○…阪神アルカンタラは9試合連続無失点でブルペンを支えている。1点を追う6回に登板。3番石川昂からのクリーンアップを3者凡退に仕留めた。「クリーンアップが相手だったし、なんとしても0点で後ろにつなげたかった。いつも以上に集中して投げることができたね。いい仕事ができて良かったよ」。中継ぎ陣の柱の1人になりつつある。

○…阪神岩貞が気合の投球を見せた。7回に3番手で登板し、1イニングを無失点。先頭木下に左安を許したが、「とにかく勝ちたい! その思いだけで投げました」と、続く高橋周、鵜飼から連続奪三振。最後は代打のA・マルティネスを1球で遊ゴロに仕留めた。4試合連続無失点と結果を残している。矢野監督も「踏ん張ってくれると、流れの中で逆転につながったり、(他の投手に)連投が続く中で大きい」と評価した。

○…阪神加治屋は5戦連続無失点と立場を築きつつある。1点ビハインドの8回に登板。1番岡林からの好打順を難なく3人で仕留めた。矢野監督は「加治屋も岩貞も頑張ってくれている」と納得顔。阪神加入2年目の30歳が存在感をアップさせている。

▽阪神井上ヘッドコーチ(打線改造も1得点)「4番に輝明を置いたという話ですよ。前後をどうするかっていうのは考えた結果、そういうふうに置いた」

▼阪神の今季土曜日の試合でのチーム打率1割8分9厘は、曜日別最低。1位の日曜日2割7分1厘から大きく見劣りする。また、防御率4・05も最悪で、最良の火曜日2・55から1点以上も悪化する。チームの勝敗も振るわず、2勝5敗の勝率2割8分6厘は、水曜日の1割6分7厘(1勝5敗)に次いでワースト2位だ。

▼阪神はバンテリンドームで開幕5連敗。同球場での同一年の5連敗は、20年9月19日から最終戦の10月15日まで5連敗して以来。シーズン初戦からでは、12年5月1日から9月7日まで、1分けを挟んで8連敗して以来10年ぶり。引き分けを挟まない開幕5連敗となると、10年4月2日から5月4日に5戦5敗して以来、12年ぶりとなった。

▼阪神は今季の1点差で4勝12敗と、12球団最多の借金8を作っている。全24敗のちょうど半数が1点差だ。昨年は25勝14敗で貯金11と、勝ち数と貯金ともに両リーグ最多だった。競り合いを落とし続けるチーム状況が、シーズン低迷の一因といえそうだ。