広島ドラフト6位の末包昇大外野手(25)が、昨年の佐藤輝(阪神)以来となる新人満弾を含む5打点で、21安打17得点の大勝に貢献した。9点リードの4回無死満塁。DeNA2番手宮国の内寄りの変化球をフルスイングした。放物線を描いた打球が左翼席に吸い込まれると、大型連休最終日に詰めかけた地元ファンを総立ちに。「今まで味わったことのないホームラン後のダイヤモンド一周だった。お祭り騒ぎで気持ち良かった」。4月2日中日戦以来の1発は球団では92年町田以来、30年ぶり2人目となる新人グランドスラム。球団史にその名を刻んだ。

大阪ガス入社時から毎年、母の日には花束を贈ってきたが、今年はまだ手元に届いていないホームランボールも贈るつもりでいる。4500グラムで生まれ、大好物だった唐揚げなど母尚子さんの手料理を男3兄弟で競うように食べて成長した。高校時代にソフトボール経験がある母からは、ときに助言に似たメッセージも届く。初球を凡退した4月の試合後には「“岡本和(巨人)はもっとじっくり待ってしっかり捉えているのに”みたいなことを1回言われた」と苦笑い。それもまた、力になっている。

35試合で11本塁打だった打線は末包の2号満塁弾を含め1試合5発と、ド派手な連勝で大型連休を締めくくった。佐々岡監督は「一発という魅力がある選手。三振もありますけど、それが魅力でもありますし、日々成長していってほしい」と大きな体の孝行息子の活躍を喜んだ。【前原淳】

◆末包昇大◆ すえかね・しょうた。1996年(平8)5月27日生まれ、香川県出身。高松商-東洋大-大阪ガスを経て21年ドラフト6位で広島入団。趣味はゴルフで、愛称「ジャンボ」はプロゴルファーのジャンボ尾崎から。契約金4000万円、年俸1000万円。背番号52。188センチ、110キロ。右投げ右打ち(金額は推定)

 

★広島猛打アラカルト★

◆マツダで球団最多 広島の17得点は20年10月30日中日戦以来だが、マツダスタジアムでは過去3度あった14点を上回る球団最多。21安打も11年9月19日阪神戦に並ぶ同球場での球団最多タイ。

◆4安打が4人 菊池涼、マクブルーム、坂倉、上本が4安打。4安打以上の最多人数は03年8月1日ダイエーの5人だが、4人は史上6度目で、セ・リーグでは3度目のタイ記録。セの過去2度は50年6月7日広島、94年9月10日広島と、すべて広島がマーク。

◆5イニング連続弾 3回から7回まで5イニング連続アーチ。チーム連続イニング本塁打の記録は67年巨人の6イニングで、5イニング以上は史上10度目。球団では65年以来2度目。

◆新人の満弾&5打点 ルーキー末包が4回に満塁弾。広島で満塁本塁打を打った新人は、92年7月26日大洋戦の町田以来30年ぶり2人目。新人の1試合5打点は昨季の佐藤輝(阪神)と牧(DeNA)がいるが、広島では72年10月8日ヤクルト戦の道原、92年の前記町田に並ぶ球団最多。

○…新助っ人マクブルームが“サイクル超え”の大暴れをみせた。来日初の2打席連発を含む4安打4打点。5回までに単打、適時二塁打、2ランとし、三塁打が出ればサイクル安打となる7回に左越えの4号ソロ。「頭の中にはありました」と記録がよぎったことを明かしながら「サイクルを目指せることは少ないですがホームランを打ててよかった」と笑顔だった。

○…遠藤は8回7安打3失点(自責1)で2勝目を手にした。序盤から大量援護をもらうと、尻上がりに調子を上げた。「野手の方々が打ってくれたので、丁寧に考えながら投げることができました」。大量リードの中でも集中力を切らさずに今季最長回を投げきった。佐々岡監督は「先発の座を勝ち取った中での今日。遠藤にとっても大きな1勝になる」とたたえた。

〇…松山の母ルリ子さんが始球式を行った。息子と同じ、背番号55のユニホームを着てマウンドに上がり、ピンク色のグラブの松山が捕手を務めた。投球はワンバウンドして右打席の桑原を直撃した。試合後、松山は「61(歳)ですけど頑張って投げてくれたので、良かったんじゃないですか」と話し、始球式時に使用したピンク色のグラブにチームメートのサインを入れてプレゼントした。

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