西純に負けてはいられない。阪神野手陣も奮起し、今季初の中軸そろい踏みでヤクルトを圧倒した。初回に3番ジェフリー・マルテ内野手(30)が先制の1号ソロを放つと、3回は5番大山悠輔内野手(27)が中押し3ラン。とどめは4番佐藤輝明内野手(23)で、6回に新人から2年連続2桁弾となる10号ソロを決めた。1試合4発も今季初で、前夜逆転サヨナラ負けの鬱憤(うっぷん)を晴らす神宮花火ナイトになった。

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阪神大山は「読み勝ち」で難敵高橋をKOした。3点リードの3回2死一、三塁。甘く浮いた初球のチェンジアップを強振し、左翼席中段まで運んだ。150キロを超える直球とスライダーのイメージが強い左腕に対して、軸ではない球種を狙い打ち。「(球種は)頭にありました。1発で仕留められたのはすごく良かった」と充実感を漂わせた。

苦戦続きだった左腕を3回で降板させた事実に、何よりの重みがある。試合前時点の対戦成績は高橋目線で3勝1敗、通算被打率1割9分3厘、10試合登板で被本塁打1。それがこの日は3イニングで3発だ。前日17日は1-0の9回裏に逆転サヨナラ負け。「神宮は何点あってもいい球場。そういう意味では大きな3点だった」と納得した。

コンディションは万全とは言いがたい。4月下旬に左足を負傷。まだ痛みは残っているとみられる。それでも2日前には休日を返上し、神宮の室内練習場で打ち込んだ。井上ヘッドコーチは「もともとは熊谷と植田だけだった。その後に『僕も行きます』と悠輔も来た」と内情を明かす。責任感は人一倍強い。6戦ぶりのアーチを復調のきっかけにしたいところだ。

試合後は体の状態を問われ、一瞬答えに窮した後に「絶好調です!」と強調した。グラウンドに立つ以上、言い訳はしない。この日は相手バッテリーに読み勝ちしたが、「こればかりは人を相手にしているので正解はない」と冷静。「そういう駆け引きも1つのおもしろさ。もっとレベルを上げるために、頭を使うところもやっていきたい」。1勝、1発を地道に積み重ねていく。【佐井陽介】

○…阪神北條が今季初安打を放った。8回1死二塁、代打で登場。左腕田口の低めスライダーをしぶとく中前へ。打球を中堅手塩見が後逸する間に二塁走者佐藤輝が生還。打点はつかなかったが、ダメ押しの8点目を呼び込んだ。「早く1本打ちたいと思っていた。復帰までお世話になった方々に感謝したいです」。昨秋に左肩手術を受け、リハビリを支えてくれたスタッフに贈る恩返しの一打になった。

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