2夜連続サヨナラ弾ヤ!! ヤクルト山崎晃大朗外野手(28)が、2点を追う9回無死二、三塁、日本ハム守護神北山から、今季1号となる劇的な逆転サヨナラ3ランを放ち、チームを4連勝に導いた。中盤まで3点を追う厳しい展開も7回に追いつき、8回、9回にも勝ち越されながらも、驚異の粘りを発揮。首位をがっちりキープした。

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チームの誰もが最後まで諦めていなかった。9回無死二、三塁、2番山崎が試合を決めた。北山の3球目、真ん中に入った139キロフォークを振り抜くと、打球は右翼席へ。2万1077人の観衆の歓声とため息が入り交じる中でホームイン。仲間から水をかけられ、次々と尻を蹴られる、文字通りの“手荒い祝福”を浴びた。人生初のサヨナラ弾。お立ち台の回答でも、ファンを沸かせた。

山崎 お尻が痛いです。オスナに10回蹴られました。長岡もいっぱい蹴ってきたので、後でやり返そうと思います。

サヨナラを決めた選手の尻を蹴るのは、山崎自身のパフォーマンスだ。17日阪神戦(神宮)でサヨナラ犠飛を放ったオスナに蹴りを入れていたが、この日はきっちりと“10倍返し”を食らった。さらに後輩からのキックも浴びたが「自分がやられて、人の痛みを知ることができてうれしいです」と笑みを浮かべた。

前夜の村上の延長11回サヨナラ2ランに続く劇的な決着に、普段は勝敗にかかわらず冷静な高津監督も、開口一番「いや、分からん…。何て答えていいか。よく分からない…」と興奮した様子。「打線がやり返してくれると思ったけど、山崎がやるとは思わなかった。不思議な勝ちだな」と笑顔を見せた。「勝ちに不思議の勝ちあり-」は恩師である故野村克也氏の名言だが、今月12日に山崎が「2番」に座ってから8勝2敗1分けと好調。交流戦に入ってもツバメは上昇気流に乗り続ける。【鈴木正章】

◆山崎晃大朗(やまさき・こうたろう)1993年(平5)8月11日、和歌山県生まれ。西貴志小では西貴志ドリームス、西貴川中では和歌山北ボーイズに所属。青森山田、日大を経て、15年ドラフト5位でヤクルト入り。16年7月31日巨人戦でプロ初出場。同年イースタン・リーグで盗塁王。昨季は自身最多の114試合に出場。173センチ、68キロ。左投げ左打ち。今季推定年俸2700万円。

▼ヤクルトは24日の村上に続き山崎がサヨナラ本塁打。ヤクルトのチーム2試合連続サヨナラ本塁打は、88年にデシンセイが1人で6月15日に鹿取(巨人)から、同18日に津田(広島)から放って以来34年ぶり。交流戦のチーム2試合連続サヨナラ本塁打は、11年に平田良介(中日)が西武、ロッテ戦、16年に鈴木誠也(広島)がオリックス戦で、ともに1人でマークして以来、通算3度目になる。

○…「ヤングスワローズ」がこの日も粘り強さを見せた。3点を追う7回無死満塁、高卒3年目の長岡が「甘い球は迷わず振りに行こうと思いました」と右前適時打を放って反撃の口火を切ると、なお無死満塁から代打で同4年目浜田が中越えに同点適時二塁打。「なんとか外野まで飛ばそうという気持ちでした。抜けてくれてよかったです」と喜んだ。先発マスクの19歳内山壮も2安打と攻守で機能した。

▽ヤクルト・スアレス(来日初登板で5回5安打3失点)「調子自体は良くなかったです。初回、甘い球を一発で打たれてしまった。次の登板に向けてしっかり調整し、さらに状態を上げていきたい」