阪神が早くも昨季を上回る12度目の完封負けを喫し、交流戦は負け越し発進になった。「日本生命セ・パ交流戦」の楽天戦で先発ガンケルが7回を3安打0封したが、打線が岸らの前に沈黙。首位ヤクルトが敗れて開幕50試合での自力V消滅は免れたが、0-1負けが6度と投手陣の見殺し状態が続いている。27日はいよいよ完全試合男のロッテ佐々木朗と対戦するが、虎は意地を見せられるのか。

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雨の甲子園が、泣いているようだった。9回表に1点を勝ち越されたその裏。中野、大山が守護神松井裕に連続三振に倒れ、最後は4番佐藤輝も空振り三振。勢い余って手放したバットが、濡れたグラウンドにむなしく飛んだ。チームは今季50試合目で、早くも昨季を上回る12度目の0封負け。ヤクルトが敗れて自力V消滅はいったん免れたが、ずぶ濡れになった観客からも深いため息が漏れた。

矢野監督も悔しさをにじませた。「コントロールももちろんいいし、緩急もあったり球種もね、それなりにたくさんある。簡単ではないけど、うーん何とかしたかったよね」。先発岸に苦しみ7回3安打無得点。7回には先頭大山の二塁打で無死二塁の好機をつくったが、佐藤輝から3人続けて凡退した。右足のコンディション不良でマルテが出場選手登録を抹消され、3番に大山を組み込んだが、打線は沈黙を続けた。

潮目は8回だった。2死二塁から近本が2番手宋家豪から左前安打を放ったが、本塁を狙った二塁走者の長坂は左翼西川の好返球で本塁憤死。矢野監督がリクエストを要求したが、判定は覆らなかった。ベンチには俊足の熊谷や植田らが控え、捕手も3人制で坂本と片山が残っていたが、矢野監督は代走は送らなかった。「結果的にもちろん俺が行き切らんかったっていうのは、受け止めている。延長12回という難しさと、その後に代走を出したいところもあった」。ほしかった1点を取り切れず、直後の9回に守護神岩崎が勝ち越しを許した。

先発ガンケルが7回を無失点に抑える快投を見せたが、打線が援護できない。今季12度の完封負けのうち、0-1敗戦が半分の6回。投手陣を見殺しにする試合が続いている。

27日は千葉に移動し、ロッテ佐々木朗と対戦する。矢野監督は厳しい表情で必勝を期した。「いいピッチャーであることはみんな分かっている。接戦になると思うので、負けをつけられるように全員で向かっていきます」。27日にも自力Vが消える状況に変わりはない。完全男打ちを浮上のきっかけにしたい。【桝井聡】

○…今季3度目の先発マスクの長坂が二盗阻止を連発した。5回2死一塁からストライク送球で西川を刺し、7回は1死一塁から辰己を仕留めた。ともに球界屈指の俊足で、西川は今季10盗塁、辰己は6盗塁。今季は巨人増田大も2日連続で刺している。矢野監督は「リードも落ち着いてるし、捕ってからの速さも球の質もいい。トータルでレベルが高い」とたたえた。

▼首位ヤクルトも敗れたため、阪神の最短での自力優勝消滅は27日に伸びた。条件は、(1)ヤクルト○の場合は阪神●または△。(2)ヤクルト△のとき阪神●。シーズン51試合目の消滅となると、00年以降では01年の67試合を大幅に超え最速となる。

▼15年に交流戦が同一カード3試合となって以降、阪神の交流戦の同一カード負け越し発進は、18年ソフトバンク戦●●●、21年ロッテ戦●○●に続き2年連続3度目。楽天戦の同一カード負け越しは、17年○●●、19年●●●以来3度目。

▼今季阪神の完封負けは12度目。昨季は年間を通して11度で、開幕50試合で上回った。0-1敗戦は今季6度目で、全体の半分にあたる。0-1の球団シーズン最多は藤村富美男兼任監督時代の1956年(昭31)1956年(昭31)の11度。このままだと17度ペースで、大幅に更新する可能性がある。

▼チーム防御率2.88はリーグ1位だが、チーム打率同ワーストの2割2分2厘。投高打低が顕著で、投手陣の奮闘を、野手陣が帳消しにしている。

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