Aクラスが見えた! 阪神が「日本生命セ・パ交流戦」でオリックスに完勝し、今季初の4位に浮上した。

佐藤輝明内野手(23)が2本の適時打と特大13号3ランでプロ最多の1試合6打点。主砲の“一本締め”で敵地の「関西ダービー」で05年以来となる3連戦3連勝を飾った。交流戦は12勝6敗の2位フィニッシュ。3位広島に2ゲーム差に迫り、17日から再開するリーグ戦に弾みをつけた。

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佐藤輝は余韻に浸った。インパクト直後、数歩歩いた。京セラドーム大阪5階席の看板にぶち当てる特大アーチ。衝撃音はファンのどよめきにかき消された。

「集中して最後までいけた結果、いい当たりになった。グフフフフ(笑い)。キモティーです。キモティ良かったです!」

6点差の9回表1死一、二塁。K-鈴木の142キロフォークを豪快に引っ張った。推定飛距離は130メートル。試合後には元西武、ロッテのG・G・佐藤氏の決めぜりふ「キモティ~」も飛び出す、会心の13号3ラン。交流戦の最後を1発で締めくくった。

1点リードの3回2死一、二塁で右前適時打。4点差の7回1死一、二塁では右中間へ2点適時二塁打を放っていた。今季4度目の猛打賞でプロ最多6打点の荒稼ぎ。この2試合で9打数5安打、7打点と打ちまくった。

「調整しながらやっていることが昨日、今日とちょっとずつ良くなってきている」。どこか吹っ切れたような顔で言った。前日、同学年の山本から19打席ぶり安打となる三塁打を放ってから、風向きが変わってきた。

打席ではグリップ、胸郭を意識するように小刻みに動く。オフに弟子入りし、自主トレをともにした吉田正の動きを参考に、リズムに乗ってバットを振る。

「4スタンス理論のタイプが一緒なので、参考にさせてもらう部分はあります。動きの中で足を上げて体の軸を作る、しっくり来ているフォームだと思う」

吉田正とは交流戦で久々に再会し、会話も交わした。京セラドーム大阪では初アーチ。パワーに確実性を兼ね備える、リスペクトしてやまない師匠の本拠地で暴れた。

4番が打った2日で順位を2つ上げ、4位浮上。3位広島に2差に迫った。「点を取らないと勝てない。もっともっと打点を挙げられるように頑張りたいと思います」。リーグ戦再開は17日DeNA戦(甲子園)。どん底に沈んでいた虎が、Aクラス入りを視野に入れた。【中野椋】

▼佐藤輝の1試合6打点は自身最多。従来の最多は5打点で、昨年5月2日広島戦、同28日西武戦と2度あった。阪神の打者では、大山が20年9月18日中日戦で6打点を挙げて以来、2年ぶり。なお球団最多は、藤村富美男が51年5月29日名古屋(現中日)戦で挙げた9打点。

▼阪神はオリックスとの交流戦関西ダービーに、同一カード3連戦3連勝。甲子園での06年5月20~22日以来、16年ぶり。敵地に限ると、05年6月7日(スカイマーク=現ほっともっと神戸)8、9日(大阪ドーム=現京セラドーム大阪)以来、17年ぶりだ。なお07~14年の交流戦は、1カードあたりホームとビジター2試合ずつ行っていた。

▼阪神の同一カード3連戦3連勝は、4月29日~5月1日の巨人戦、6月3~5日の日本ハム戦に続き今季3度目。

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