話題はBIGBOSSだけじゃない。日本ハムが仕掛けた応援スタイルが、球界でひそかなブームを呼んでいる。球団マスコットとファイターズガールが試合中に踊る「きつねダンス」は、動画配信サイトで多くの再生回数を稼ぎ、シーズン途中に登場した新キャラクター「しゃけまる」も、グッズを増産。誕生秘話や“中の人”たちの野望とは-。仕掛け人たちの思いに潜入した。【取材・構成=中島宙恵】

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「しゃけUP!」の掛け声に合わせ、頭上にファイターズブルーのぬいぐるみ「しゃけまる」を掲げるファンたち。5月28日に「放流」された新キャラクターを使った応援スタイルが、日本ハムファンの間で、じわじわ浸透中だ。札幌ドームで販売した、ぬいぐるみ500個は即日完売。受注販売分も予定個数を上回り、現在、追加の申し込みを受け付けている。

そもそも、なぜ、シャケなのか。グッズ開発の責任者を務める松橋和彦さん(36)は「漁獲量は北海道が断トツで1位。昔アイヌでは『神のサカナ』と言われており、北海道といったらシャケです。生まれ故郷の川に戻るという習性も『選手がホームに戻ってくる』イメージに重なりました」と説明する。コロナ禍で、声出し応援やジェット風船が制限される昨今。観戦環境が変わる中で「ファンが1つになるきっかけとなるグッズを開発したかった」。7月中旬には、ぬいぐるみのほか、帽子やパペットなどが店頭で購入できる予定という。

現在、展開されている「しゃけまる」は、実はオス。大きな脂ビレと、とがったアゴ、牙が特徴で「ありとあらゆるシャケグッズを買いあさって研究した」こだわりのキャラクターだ。伊藤、吉田ら釣り好きな選手やファンの反応は上々で、本塁打後の清宮がベンチでつるされた特大「しゃけまる」に抱きついたシーンも。松橋さんは「一過性ではなく、23年開業の新球場でという思いもある。球場が青くなる瞬間を、ファンの方々と一緒に作れたら。そのツールになればいいと思います」と青写真を描く。

 

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