負けなかったけど…。阪神が広島と引き分け、5位に後退した。6月好調の近本光司外野手(27)が2-3の9回2死から同点適時打。2戦連続の猛打賞で延長に持ち込んだが、11回の勝ち越し機では三振した。チームは12回の好機も生かせず、広島に開幕から9敗2分け。開幕から同一カード11戦未勝利は球団ワーストで、首位ヤクルトと15ゲーム差となり逆転への「危険水域」を超えた。

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何度もうなずいた。土壇場での同点劇。二塁ベース上で近本は両手を上げ一瞬、白い歯を見せた。試合は続いている-。そう言わんばかりに、すぐさま表情を戻した。

「どうやったら打てるかしかイメージしてなかった」。集中力を研ぎ澄ませた9回2死二塁。1点を追い、マウンドには栗林。カウント2-2から低めフォークに食らいつき一、二塁間を破った。

「なんとしても1本出さなきゃいけない場面。抜けろと思って走っていましたし、(植田)海がよくホームまで帰ってきてくれた」

前夜はサヨナラ負け。「負けることなく終われたんで良かったなと思います」。当然満足はしなかったが、ホッとしたのも事実だ。

初回は中前へ先制適時打。自己最長をさらに更新する20試合連続安打は、球団では2リーグ制後9人目(11度目)の記録だ。5回の右前打でシーズン打率を3割に乗せた。全試合で3番に入る6月は月間打率4割5厘。「打率は変動するもんなんで意識しない」。目の前の試合を戦うだけだ。

2試合連続の延長戦。11回2死二塁ではターリーに見逃し三振に仕留められた。「4本目」は出ず、チームは開幕から広島に11戦勝ちなしとなった。同一カードで開幕から11戦未勝利は球団初の屈辱だ。なんとか引き分けに持ち込んだが5位に転落。首位ヤクルトとのゲーム差は15に開き、プロ野球史における最大差逆転Vの14・5ゲーム差を超えた。

「負けて帰るのと引き分けでは全然違うんで、引き分けがあって良かったって思えるような、明日からの試合にしていかないとダメだと思う」。矢野監督は必死に前を向いた。4時間52分を無駄にはしない。甲子園に帰って出直しを図る。【中野椋】

▽ケラー(8回に登板し、広島中軸を3三振)「1点ビハインドの場面での登板だったけど、3人で抑えることができてよかった。チームの同点につながるような投球ができてうれしいよ。今日のような投球を続けられるように、しっかり準備していきたいね」

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