オリックスの主砲は、やはり頼れる。1点を追う4回。吉田正尚外野手(28)が、楽天岸のチェンジアップを完璧にとらえた。打った瞬間にファンもスタンドインを確信した一撃は、右中間席へ一直線。逆転の7号2ラン。「いい当たりで、打球が上がってくれました」。ここ5試合で3本塁打。夏に強い男が、本領を発揮してきた。

通算119本目のアーチは、オリックス時代のイチロー氏の118本を抜いた。5回にもセンターへの犠飛。7回には強烈な左翼線への二塁打を放った。今季本塁打を打った試合は6勝無敗だ。

左太もも裏の筋損傷は、完治していない。「打つ方は問題ない。ただ、走る部分が…。(強度を)上げ過ぎての一気にダウンは難しいので。全力を尽くしつつも、コントロールするのもプロだと思う」。遠征先には特注のマットレスを持参。「枕も自分のものを持っていきますよ」と睡眠時の血流などもチェック。万全を目指し、回復を図る。

「チーム状況もありますけど、離脱はできない気持ちもあります。ベストパフォーマンスは分からないですけど。最低限ね。何とかチームに。今は打つだけですけど、何とか貢献したいという気持ちです」と主砲の責任感を口にする。本塁打なら全力で走れなくてもいい。そのアーチがチームを鼓舞する。中嶋監督も「絶好調だとは思わないが、最後の二塁打は強いライナーで(調子が)戻ってくるのかな」と復調を感じ取っている。「投手が頑張っているので、打線が点を取って(連勝モードに)持って行きたい」という指揮官の目に、背番号7はひときわ頼もしく見えるはずだ。【高垣誠】

○…オリックス田嶋が7回1失点の好投で4勝目を挙げた。22日のソフトバンク戦で2年ぶりの完封勝利を挙げたことで、試合の入りは慎重に行きすぎたという。2回に先制点を許したが、味方の援護点をもらってからは「体と心が合致して出力のある球が投げられた」と7回まで無失点に抑えた。「本当に点を取ってもらったおかげ。そうでなければ7回まではきつかった」と野手陣に感謝した。

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