広島がヤクルトに投打で力負けし、自力優勝の可能性が消滅した。4回まで拙攻の連続で流れを相手に渡すと、中盤以降は投入した中継ぎ陣がいずれも失点してリードを広げられた。セ・リーグ首位を独走するヤクルトに8連敗(1分けをはさむ)で今季1勝9敗1分けとなった。

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僅差で迎えた中盤、広島ベンチに勝利へ向けた執念は感じられなかった。まだ2点差の7回を5日ぶり登板の新人森に託し、1失点。再び2点差に戻した8回は前日28日に再昇格後初登板で1回3安打1失点の菊池保にかけるも、2失点。首位独走のヤクルト相手に、僅差で追う展開でも消極的な継投策では反撃ムードは生まれない。勝ちパターンだけでなく、矢崎やターリーらも投入せず、終わってみれば大敗。まだ68試合を残して、自力優勝の可能性が消滅した。

佐々岡監督 まだ6月というところだが、これだけ負けが続くとそうなる。まだ70試合近くある。数字というよりも、やっていくしかない。

試合後は現状を受け入れるように淡々と話すも、この日の敗戦は波に乗りきれない今季を象徴するようだった。序盤は拙攻の連続。4回まで毎回走者を出しながら、2つの盗塁失敗と2つの併殺打。残塁なく3人で攻撃を終える、ちぐはぐさが勢いを止めた。試合の流れがヤクルトに傾いた4回、先発遠藤が先頭の山田に2ストライクから先制弾を許した。さらに足を絡められて失点。効果的な攻撃を見せつけられた。

ヤクルトには1分けを挟んで8連敗で1勝9敗1分けとなった。特に警戒していたはずの山田と村上に3被弾。特に2打席連発の村上には今季対戦別本塁打数で最多となる9本塁打を献上し、山田にも同最多4本塁打を許している。球団記録に王手をかける7試合連続2桁安打も、敗戦の中では喜べない。大量ビハインドの9回に奪った1得点がチームのちぐはぐさを色濃くした。

佐々岡監督は「選手も悔しいと思いますし、準備しないといけない。バッテリーでいろいろ考えないと今のヤクルトにはなかなか立ち向かっていけない」と促した。選手を使う、動かす、乗せるのもベンチの役割。待っているだけでは歯車はかみ合わない。まだヤクルト戦を14試合残すだけに、チームとして明確な対策が必要だ。【前原淳】

○…先発遠藤は6回2失点と試合をつくったが、打線に援護されず、5敗目を喫した。0-0の4回、先頭山田にソロを打たれ、先制を許した。さらにその回、連打と犠飛でもう1点を失った。「ストライク先行で攻めの投球を心掛けていた。思ったより変化球が使えた」。直近4戦で勝ち星から遠ざかっているが、首位打線相手に2失点にまとめ、手応えも得た。

○…坂倉が4戦ぶり7号ソロを含む複数安打で連続試合安打を「15」に伸ばした。3点を追う7回先頭でヤクルト2番手梅野の内角直球を右翼席へ運んだ。「今は割り切れて打席に入れている。強いスイングができている。(守備が)良いか悪いかは結果がすべて。勝てなくて悔しい」。マクブルームに並ぶチーム最多本塁打となったが、3戦ぶり捕手として勝利に導けず、笑顔はなかった。

○…小園が今季6度目の猛打賞で食らいついた。3回先頭で遊撃内野安打。5回2死一塁では右前打を放ち、9回1死一、三塁では左前へ適時打。「やるべきことを1試合1試合やるだけ。秋山さんも入るし、(負傷中の西川)龍馬さんも帰ってくる。今の間に(遊撃を)定着させておかないと厳しい」。上本に遊撃スタメンを譲る日もある背番号51が、危機感を胸に3安打を固め打った。

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