銀傘に響いた快音が、心地よかった。3点リードの4回2死。巨人中田翔内野手が阪神ウィルカーソンのチェンジアップを完璧に仕留めた。放物線が左翼席へ伸びる。貴重な追加点となる9号ソロを「自分の形でしっかりととらえることができた」と、確信歩きで見届けた。

05年夏。この地で、大阪桐蔭1年生の中田は“怪物”として産声を上げた。「ほんと甲子園は思い出深い球場ですし。高校野球っていうたらここを目指してずっと頑張ってたわけですから、やっぱり何か違うものがありますね」。高校時代の通算87本塁打中、聖地では4本もアーチを描いた。だが、プロでは日本ハム時代の14年に1本だけ。8年ぶりの甲子園での本塁打で、借金生活回避へと導いた。

22年夏。全国各地で高校球児の熱戦が始まった。かつての甲子園のスターは「やっぱり来たら(高校時代を)思い出すというか、多少はね」とほほ笑むと「もっともっと頑張って活躍して勝利に貢献したい」と力強く結んだ。中田の熱い夏は、ここから始まる。

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