耐えて、苦しんだ前半戦だった。楽天は辰己涼介外野手(25)が先制打と1発で打線に火を付け、西武に快勝。3位に浮上して前半戦を締めた。最大18あった貯金は2まで減少。それでも首位ソフトバンクとは2差と逆転優勝は射程圏内にいる。首位から5位オリックスまで2・5ゲーム差にひしめいて前半戦が終わるのは史上初。歴史的な“混パ”を勝ち抜くために、弾みのつく最終戦となった。

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1番辰己が流れを呼び込んだ。3回2死三塁で迎えた第2打席。カウント2-2から平井の外角低め140キロフォークを捉えた。先制となる中前適時打。後続も続き、2死から6連打で4得点。試合の流れをも呼び込んだ。6回2死走者なしでは、右翼席上段へ7号ソロ。3安打2打点と貢献した。「3安打もそうですけど、1打席目の凡退(遊飛)が今日いけるかなという感じがした。打ち取られたことを引きずらずに自信に変えて打てたことが良かった」とうなずいた。

チームはジェットコースターのような浮き沈みだった。首位を独走した時期もあったが、他球団の追い上げにのまれた。この日、敗れていれば最大貯金18が底をつきゼロとなる史上初の屈辱の可能性もあった。

辰己自身もチームとシンクロするように好不調の激しい前半戦だった。6月12日巨人戦では球団史上初の1イニング2本塁打を放つ一方で、35打席無安打を経験。「山あり谷ありの前半戦でした」。前日23日も先発落ち。悔しさを心の底に秘めながら、ベンチで戦況を見守った。課題はメンタル面。結果がほしいという思いが強すぎて、空回りしていた。

無欲に立ち返り、直近5戦では打率4割3分8厘。再浮上のきっかけをつかみつつある。「前半戦の終盤あたりから盛り返せたことが、後半につながっていくのかな。なんとか前半持ちこたえられることができたので、しっかりと後半の最初から飛ばしていきたい」と意気込んだ。

後半戦の巻き返しへ。考えることは石井GM兼監督も同じだ。「最後に勝って終えたのは後半戦にもつながりますし、全体を見ればチームは5割以上でしっかりと来ている。これからはよりチーム一丸となって戦っていくことが大事。ここからしびれる戦いをしたい」と力を込める。より目の前の試合に貪欲に立ち向かい、他球団をまとめて差し切る。【湯本勝大】

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