「マイナビオールスターゲーム2022」第1戦(ペイペイドーム)は2-2の9回、途中出場の全パ・日本ハム清宮幸太郎内野手(23)が左翼ホームランテラスへサヨナラソロ本塁打を決めた。MVPに選ばれ、賞金300万円をゲット。MVPを取って賞金でチームの裏方さんにプレゼントするようにという新庄監督の指令を完遂した。プラスワン投票で最後の1人に選ばれた男が、最後の最後、一振りで全てを持って行った。

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左翼への軌道が全ての野球好きの視線を集めた。2-2の9回2死走者なし。清宮は広島森下の直球勝負にフルスイングで応えた。ファウル3つで、カウント1-2からの5球目。低め154キロを捉えた打球は速度158キロで一直線にホームランテラスへと消えた。「入るとは思わなかった。自分が一番びっくり。ふわふわしてました」と不思議な気持ちでダイヤモンドを1周。ただ、西武山川がピコピコハンマーを持って待ち構えているのは目に入った。「なんだ、あれは」と笑いをこらえつつ、スターたちが待ち構える本塁へ飛び込んだ。

公約を実現した。プラスワン投票で、全パ最後の1人で選出された。前半戦最後となった24日のロッテ戦。勝利で締め、お立ち台に上がると「なまらフルスイングしてきます。オールスター、ホームランを打ってMVPをとります」と地元北海道のファンに宣言した。新庄監督からは「MVPとったら300万円。それを裏方さんに、ちょっとプレゼントしてあげて欲しい」と言われた。誓ったとおり、フルスイングで現実のものとした。ビッグボスにどう報告するか問われると「やったぜ!」。感情が詰まっていた。

第2戦の松山では、もう1つの大役が待っている。この日、試合前のホームランダービーで決勝に進んだソフトバンク柳田の打撃投手を務めた。試合前からフル回転し「ピッチャーが一番、緊張しました。明日も残ってるんで、しっかり投げます」とニヤリ。オールスター初安打を劇的に飾った。18年のフレッシュ球宴でもソロを放ち優秀選手になっている。大舞台でこそ、力を出す。

「スターの方たちの中でやれる幸せをかみしめながら、明日も松山で、もっともっといい試合を見せられるように精いっぱいプレーしていきたい」

お祭り男の本領を、もっともっと発揮する。【古川真弥】

▼初出場の清宮が9回2死からサヨナラ本塁打。オールスターのサヨナラ本塁打は86年<3>戦吉村(巨人)以来、36年ぶり7本目。9回打ち切りとなった92年以降では初のサヨナラ本塁打となり、「9回2死」からは延長があった時代を含めて初めてだった。初出場の年に打ったのは74年<1>戦高井(阪急)86年<3>戦吉村に次いで3人目だが、吉村は出場3試合目。出場初戦でサヨナラ本塁打は初打席で打った高井以来2人目だ。また、清宮の23歳2カ月は吉村に並びサヨナラ本塁打の最年少記録となった。

▽全パ・オリックス中嶋監督 

本当に素晴らしい試合だったと思います。清宮選手が、まさか打つとは思ってなかったので。非常に素晴らしいホームランだったと思います。明日は佐々木選手が先発ですので、それをしっかり近くで見たいと思います。

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