BIGBOSSが完全復活した。新型コロナウイルス陽性から現場復帰した日本ハム新庄剛志監督(50)が、らしさ満点の采配で後半戦白星スタートに導いた。

1点を追う6回にエンドランが決まって形勢をひっくり返し、投手継投では北浦竜次投手(22)をクローザー起用。次々と繰り出した策が見事にハマった会心の逆転勝利で、自らの復帰祝いをド派手に飾った。

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新庄監督はベンチを飛び出し、ショートを指さした。「いいところ打ってくれるわ、最後」。1点リードの9回2死一、二塁。遊撃手の中島が、二遊間を抜けそうな打球を横っ跳びで好捕。二塁へトスして勝ちきった。真っ先に中島を出迎えた指揮官は「楽しかったね、今日も」と、最後までハラハラドキドキの試合を勝ちきって笑顔を見せた。

監督としての復帰初戦は、随所にBIGBOSSらしさ全開だった。「今日はエンドランだな~エンドラン攻撃」。1点を追う6回に仕掛けた。無死一塁で今川の2球目にエンドランのサインを出した。結果はファウル。続く3球目もエンドラン。またもファウルとなるも、カウント2-2からの5球目に、三度目の正直でエンドランが成功した。右前打と悪送球で一走中島が同点のホームを踏み、近藤の決勝打と続いた。

継投もサプライズの連続だった。後半戦から「もう俺がやります」と全権を持ったBIGBOSSは「今日、抑えを北山君と北浦君でいくと試合前から言っていた」。1点リードの9回は北山が1死を奪い、最後は5年目左腕の北浦に託した。「前回(西武)山川くんと対戦した時の投球がすごいイメージがあった。面白い。メンタルが強い」と抜てき。狙い通りの強心臓で、ピンチはつくりながらもしっかり締めた。

依然、チームのコロナ禍は収束していない。離脱者も多い中で新庄監督は「こういうメンバーで勝ちたい気持ちが、めちゃくちゃ強い」と言った。唯一無二のBIGBOSSが帰ってきた意味は大きい。「やっぱ締まるわ。俺がベンチに入ると」とニヤリと笑って、続けた。

新庄監督 こういうゲームを常にやって、楽しいゲームを見せていったら、意外と混戦しているところに加わって…ガンって一気に抜いていけたら、むちゃくちゃ面白いかな。ドラマ的には最高ですよね。

選手の力を信じ、自由自在にタクトを振った先にどんなドラマが待つか-。【木下大輔】

○…近藤健介外野手が勝ち越しの適時打で、チームを後半戦白星スタートに導いた。6回、相手の失策で追い付いた直後だった。1死二塁から中前適時打。「しっかり強い打球をセンターに打ちに行くイメージだった」と、シミュレーション通りにバットを振り切った。コロナ禍で主力の離脱が相次ぐ中、責任が増すチームリーダーは「初戦を取れたのは大きかった」と、うなずいた。

○…先発のコディ・ポンセ投手が、5回2/3を2安打1失点で2勝目を挙げた。四球と2長短打で先制点を許した3回以外は、ほぼ完璧な内容。緩急自在に楽天打線を手玉に取った。6回1死で迎えた楽天浅村の痛烈な打球は、三塁手の佐藤が横っ跳びで好捕。「チーム一丸となって勝ち取った勝利」と感慨深げで「引き続き野球を楽しみながら、勝ちを積み重ねていきたい」と、意気込んだ。

○…北浦竜次投手が新クローザー候補に名乗りを上げた。1点差の9回1死無走者の場面で登板。2死一、二塁のピンチを背負ったが、最後は中島の好守に救われた。「タクさん(中島)が『守るから』って言ってくれていたので信じて良かった」と感謝のプロ初セーブを挙げた。新庄監督は守護神について「(堀が新型コロナ陽性から)戻ってきたら北山くん、北浦くん、堀くんの3人でやっていっても面白い」。北浦も「しっかりアピールしていきたい」と話した。

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