ロード連勝発進や! 阪神が巨人との接戦を制し、13年ぶりとなる5カード連続勝ち越しを飾った。1点リードの5回に、梅野隆太郎捕手(31)が天敵の巨人戸郷から3号ソロを放ち、貴重な追加点を挙げた。今季の本塁打はすべて巨人戦。先発伊藤将司投手(26)との「Gキラーバッテリー」が敵地で躍動した。

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マスクを外した梅野には、まだアドレナリンが残っているかのようだった。「本当にしびれる試合でした。終盤になればなるほど、何とか締めてゲームを終わらせたいという気持ちで。勝てて良かったです」。1点差ゲーム。攻守で輝いた男の汗はまぶしい。

1点リードの5回1死。序盤から直球で押してきた戸郷の146キロを左翼席へかち上げた。ソロアーチで追加点。今試合前まで17イニング無失点と封じられてきた「虎キラー」に、気持ち良く投げさせるわけにはいかない。

「すごくいい投手なんですけど、それをね、しっかりスタンドまで運べたのは自信にもなります。何とか、とにかくチームの勝利に貢献できてよかった」

本塁打パフォーマンス「ハートU2」を決めベンチ前を歩くと、みんながまねしてくれた。今季3本塁打は全て巨人戦。宿敵相手に今季3戦3勝の伊藤将との「Gキラー」バッテリーで、09年以来の巨人戦5カード連続勝ち越しだ。

プロ9年目。いい時も悪い時も、変化を恐れてこなかった。現状維持ではなく、全ては進化のため。打撃フォームもそうだ。

「結局インパクトまでどうもっていくか。そのためにはフォームもいろいろ考えながら。こだわってやっているんで」

テークバック、足の上げ方…。福岡大時代、大学日本代表で4番も務めた男が、なりふり構わず、その時々のベストを模索する。今季も微修正を繰り返し、日々打席に向かう。何より求めるのは、勝利に直結する一打。「キャッチャーとして、ここぞの1本を出したい。頼もしい選手でいたいなと」。だからこそ、この日の勝利は格別だった。

長期ロード連勝発進に導き、貯金は今季最多の3。矢野監督も「(7番)ロドリゲスのホームランを警戒して打ち取った次の初球ってエアポケットじゃないけど、そうなったところを一発で仕留めたのは相手もがくっとくるような1点。効果的だった」とたたえた。14試合連続スタメンで、この間、打率3割1分8厘。扇の要がどっしり構えれば、虎の安定感は増すばかりだ。【中野椋】

 

▼阪神は今季の巨人戦で5カード連続勝ち越し。同一シーズンでは、09年7月17日~19日の3連戦から、9月15~17日の3連戦にかけての5カード連続以来、13年ぶり。

▼夏の長期ロード期間中に東京ドームでの巨人戦で2連勝したのは23年ぶり4度目。91年8月7~8日、92年8月22~23日、99年8月21~22日以来(複数年にまたがるケースを除く)。前回99年は野村克也監督時代で、8月21日は先発舩木ら4投手の継投で4-1の快勝。同22日は先発ミラーが8回に桑田から、自ら決勝本塁打を放ち2-1で勝った。

▼阪神が長期ロードを○○発進は、17年7月28~29日中日戦(ナゴヤドーム)以来5年ぶり。

○…ロハスが「天井凡打」で東京ドームをザワつかせた。1点リードの8回に先頭で代打登場。戸郷の143キロを高々と打ち上げた。打球は天井に当たって少し落下地点を変えるも二飛となった。直前の7回裏1死では巨人5番ウォーカーも遊飛を天井に当てていた。2イニング連続の「天井打」に観客は盛り上がった。

○…7回の男・浜地が無失点に抑え13ホールド目を挙げた。直前の攻撃で矢野監督、巨人原監督のダブルリクエストで併殺となり追加点のチャンスを逃していただけに、矢野監督は「ウチにとっては嫌な流れ。でも、あまり動じずにいってくれた」と感謝した。2死から中田に安打を許したが大城を右飛に仕留めた。浜地は「0点で後ろにつなぐことができてよかった」と笑顔だった。

○…守護神岩崎が2戦連続3人斬りで24セーブ目を挙げた。7月30日ヤクルト戦から4戦連続での登板。先頭の代打増田陸にはフェンスギリギリの中飛でヒヤリとしたが、3番丸を空振り三振、4番岡本和は中飛と主軸を料理した。矢野監督は「攻めながら丁寧にとやっている。優の投球や気持ち、マインドを、2人は参考にしているのかなと思う」と浜地、湯浅のよき手本になっていると絶賛した。

○…原口が今季1号2ランを放った。ウエスタン・リーグ中日戦(バンテリンドーム)に「5番・一塁」で出場。4点を追う4回2死二塁で、中日先発の勝野の甘く入ったフォークを左翼席へ運んだ。6月13日にコロナ陽性が判明。同24日からチームに合流した際には「どんどん試合に出て結果を求めてやっていきたいと思います」と話しており、打撃でアピールした。

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