またしても“村神様”に打ち砕かれた。両軍無得点の3回2死一、三塁のピンチで打席にはヤクルト4番村上。阪神伊藤将司投手(26)は初球を外角へのボール球から入り、2球目だった。内角へやや甘めに入ったツーシームを捉えられ、右翼席上段まで運ばれた。痛恨の先制3ランを被弾した左腕はマウンド上で立ち尽くし、首をかしげた。

「ランナーをためて、一番、村上に1発はダメだというところで打たれてしまった」

攻めた結果だった。村上には7月末の前カードで3打席連発を含む4発を浴びた相手。細心の注意を払い、意図して内角を突いた球を完璧に仕留められた。左腕は「ラインだけ意識してやった。コースもいいところだったと思うので、うまく打たれたなと」と脱帽した。矢野監督は「一発で仕留める技術も、力もあるバッターやから、バッテリーは攻めるっていうことはできにくいけど、粘ってほしかったよね」と嘆いた。

ただ、伊藤将はスイッチを入れ替えたのか4回以降はヤクルト打線を圧倒した。「粘って投げようと思っていた」と、キレのある直球を軸にカットボール、チェンジアップ、ツーシームを両サイド低めに集めた。5回から5者連続で三振を奪うなど、15者連続で打者を粉砕。チームに流れを呼び込んだ。しかし8回2死で山田に左越えのソロを浴び、今季初の1試合2被弾を食らった。「最後に1点取られてしまったのは、ちょっと流れをかえてしまったんじゃないかなと。自分の反省です」と悔やんだ。

8回4失点で今季4敗目を喫したが、1人で最後まで投げ抜き、両リーグ単独トップの5完投をマーク。また自身初の2桁奪三振で、これまでの自己最多を3つも上回る12奪三振を記録するなど力を示した。「ストレートもしっかりコースにいっていた」と、7つが見逃し三振だった。課題とともに、収穫を得たゲームになった。【古財稜明】

▼伊藤将が自身最多の12奪三振。これまでの最多は22年7月14日巨人戦(甲子園)9奪三振で、2桁奪三振は今回が初めて。

▼伊藤将は8月10日DeNA戦(横浜)に続き、今季2度目の完投負け。シーズン2度の完投負けは、15年藤浪晋太郎の2度以来。

▼阪神は8月9日DeNA戦から8連敗。今季は開幕9連敗を喫しており、8連敗以上はシーズン2度目となった。これは、07年の9連敗と8連敗各1度以来、6度目。なお、18日も負けると同一シーズン9連敗以上が2度目となり、99年(9連敗、12連敗)以来。

○…18日ヤクルト戦に先発する西純が、相性のいい敵地で今季4勝目を狙う。神宮では5月18日にプロ初完投と豪快な初アーチを放った。「いいイメージはある。でも、首位のチームなのでしっかりと集中しながら、自分の投球できるように頑張りたい」。打撃にも期待がかかるが「メインはピッチング。でも自分のできることは一生懸命やりたいなと思います」。この日はキャッチボールなどで登板に備えた。

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