無援護…。広島森下暢仁投手(25)が自己最多11勝目をかけて、中日戦(バンテリンドーム)に先発した。7回1失点と先発の役割は果たすも、打線が3安打無得点と沈黙。そのうち1本は自身の安打だった。前回8月30日阪神戦(甲子園)の登板でも6回無失点と好投したが、援護なし。ルーキーイヤーに挙げた自己最多10勝に並んでいるが、更新を前に3度目の足踏みとなった。5位巨人にはゲーム差なしに迫られた。

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一塁側ベンチ前で、中日の初勝利左腕・上田が記念撮影のフラッシュを浴びた。対照的に広島ナインは、重い足取りでバンテリンドームの左翼席前に今季最終戦のファンへの感謝のあいさつに向かった。

今季14度目の完封負けで、4年ぶりの中日戦シーズン負け越しが決定。先発森下の華麗なフィールディングも、野手顔負けの右前打も、自己最多11勝目にはつながらなかった。「自分はやれることをやった。勝ち負けはどうしようもない」。確かに右腕は投打に加え、守備でもやれることをやった。

両軍スコアレスの4回1死二、三塁。カウント2-2から中日土田がスクイズを敢行した。三塁側へ転がった打球に、森下が猛チャージ。ダイビングからグラブトスで本塁へ送球し、1度はアウトの判定をもぎ取った。だが、立浪監督が「リクエスト」。コリジョンルールが適応され、判定が覆り、1点目が相手に渡った(結果は犠打野選)。最善を尽くした懸命なプレー。佐々岡監督も「最高のプレーだった」とフィールディングを称賛した上で「ビデオを見てもあれだけ(走路が)空いているのに、ちょっと納得いかないところはある」と首をかしげた。

3回2死では上田の高めに浮いたカットボールを捉えて右前に落とし、チーム初安打。今季11本目を放ったが、本塁は踏めなかった。

味方打線は沈黙。先発左腕上田を前に、6回で2安打しか放てなかった。前夜は広島ドラフト2位ルーキーの森がプロ初勝利をつかんだが、この日は中日の育成出身2年目左腕に初勝利を献上。指揮官は「森下が頑張っていただけに、森下で負けるのはちょっと痛い」とうつむく。連勝も5で止まり、5位巨人にはゲーム差なしに迫られた。今季は残り13試合。勝つことでしか道は開けない。【前山慎治】

○…広島打線が中日先発上田にプロ初勝利を献上した。左腕の立ち上がりは荒れた投球内容もあり、策を打てずに4回まで1安打。5回2死三塁で、矢野に先発を外れたマクブルームを代打に送るなど、中盤以降は講じた策も奏功しなかった。朝山打撃コーチは「初見なので積極的に行こうと言った中で、どうしても見て振っていこうとしている感じが見受けられた。手出しが少なかったかなと。そこが反省点ですね」と首をひねった。今季14度目のゼロ封負けとなった。

▽広島松本(2番手として8回に登板も押し出し死球)「勝負して行った中での結果なので。こういう結果になったことは自分でしっかり受け止めて、次の登板に向けてどうするかというところが鍵だと思う」

▽広島倉バッテリーコーチ(4回のコリジョンルール判定に)「会沢は故意で膝をついたわけではない。ベースの角はしっかり空けていた。あとは審判がどう見るか。僕らからしたら、空けているのにと、あんなところで(ブロックを)しに行かないでしょうと」