阪神藤浪晋太郎投手(28)が28日、今オフにポスティングシステムを使用して大リーグ移籍を目指すことを正式表明した。前日27日に判明したメジャー挑戦の意思を「事実」と認め「気持ちは変わらない」と訴えた。一方、百北幸司球団社長(61)は「強い思いは十分届いている」と理解を示した上で「大事な戦力。結論を出したわけではない」とも強調。シーズン全日程終了後、本格交渉に入る。

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藤浪は真剣な面持ちを崩すことなく、自身の感情を言葉に変換し続けた。前日27日、今オフにポスティングシステムを使用して大リーグ移籍を目指す意思が判明。「かねてそういう気持ちがあります。『チャレンジさせていただきたいです』という話を球団としているのは事実です」。練習終わりの神宮球場駐車場。誠実かつ丁寧に、現在までの経緯を明かし始めた。

昨年12月、契約更改交渉の席でメジャー挑戦に懸ける思いを球団に伝えた。以降、すでに複数回の話し合いを終えている。「大リーグは野球の最高峰。野球人としてぜひ挑戦したいトップレベルの世界。30いくつになってくるとなかなか厳しい世界でもあるので、若いうちに挑戦したい」。28歳。向上心が今、チャレンジを強く後押ししている。

15年1月に自主トレを共にした前田(現ツインズ)は今年でメジャー7年目。18年1月には米国テキサス州でダルビッシュ(現パドレス)やドジャース・カーショーとトレーニングに明け暮れている。「その時の米国の環境や雰囲気にすごく刺激を受けて。そういうところから気持ちが傾いていたのはあります」。

テレビをつければ、同学年のエンゼルス大谷やカブス鈴木ら日本人選手のプレーが目に飛び込んでくる。「憧れというか、チャンスがあるなら挑戦したいという気持ちは持っていました」。親交の深い武豊騎手、柔道家で五輪2連覇を達成した大野将平、空手家の西村拳…。グローバルな活躍を続ける知人たちから「世界を見て」と声をかけられる度、モチベーションはさらにアップしたという。

この日、阪神百北球団社長は「彼の強い意志、憧れは球団に十分届いています」と理解した上で「タイガースにとって大事な選手、大事な戦力に変わりはない。まだポスティング移籍について結論を出したわけではございません」とも強調した。来季新監督に内定した岡田彰布氏の意向も考慮されるとみられる。

今後はシーズン全日程終了を待って本格交渉に入る見込み。藤浪は球団の温かい対応に感謝しつつ、「基本的に自分の気持ちは変わらない。しっかり伝えたい」と熱意を隠さなかった。【佐井陽介】

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