勝ち越された!? ヤクルトファンの悲鳴が神宮に響いた。延長12回2死二塁。オリックス紅林に対し、カウント2-2から木沢が投じたスプリットはワンバウンドでそれた。二走の佐野皓が三塁を蹴り、一気に本塁へかえってきた。だが、直後に球審が三塁へ戻るよう指示。木沢は紅林には四球も、続く伏見を三直。負けがなくなった。

時計の針は午後11時を回った。5時間3分の末に引き分けた。高津監督は、9回の内山壮の同点3ランをたたえつつ「リリーフみんなの頑張りがあってのこと。全員よく粘って踏ん張った」とねぎらった。先発サイスニードが4回2失点で降板後、大西が2回1失点。7回から12回までは、石山、今野、マクガフ、清水、田口、木沢と0でつないだ。ブルペンに残ったのは久保のみ。今季8投手をつぎ込んだのは、レギュラーシーズンで1度あっただけだ。「全員」でつかんだ引き分けだった。

日米通算313セーブの高津監督は身をもってリリーフ稼業の苦労を知る。だからこそ、日本シリーズ出場を決めた直後も「毎日準備して、毎日仕事があって、毎日緊張して、すごく難しいポジション。1年間、耐え抜き、やり続けたリリーフピッチャーには本当に感謝します」と満員のファンの前で思いを伝えた。日本シリーズに入っても、信頼は変わらない。「打者の特徴を勉強して、上がってくれている。本当、踏ん張った」と、ねぎらいが止まらなかった。【古川真弥】

◆投手の投球がベンチに入った場合 公認野球規則5・06(b)にあり、打者に対する投手の投球がスタンドまたはベンチに入った場合は、ボールデッドになり、1個の塁が与えられる。その際の進塁は、投球当時の走者の位置が基準となる。今回は佐野皓が二塁から一気にホームインしたが、進塁は1個しか与えられないため、三塁に戻されることになった。

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