オレが拭い去る! 広島出身の阪神西純矢投手(21)が4日、「広島の悪夢」一掃に意欲を燃やした。兵庫・西宮市の鳴尾浜球場で行われたタイガースカップ表彰式にプレゼンターとして出席。1軍でまだ登板がないマツダスタジアムでの来季登板を熱望した。チームが今季開幕から6戦目まで5敗1分けと苦しんだ鬼門で快投し、新井貴浩監督(45)が率いる新生カープの前に立ちはだかる。

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白球を追う少年の姿を見た西純が、地元マウンドへの思いを強くした。「やっぱり地元で投げたい」。今季14試合登板で6勝(3敗)を挙げるなど1軍に定着しつつあるが、高卒3年目を終え、まだマツダスタジアムでの1軍登板がない。広島・廿日市市出身で、実家から同球場まで車で約20分。「観戦なんか(幼少期から)しょっちゅう行っていますよ」。来季こそは通い慣れた球場でヒーローになりたい。

マツダスタジアムは今季、虎にとって悲劇の舞台だった。開幕2カード目となった3月29日の同球場初戦では、守護神候補ケラーがヤクルトとの開幕戦に続いて炎上。開幕から広島では6戦勝ちなしで、シーズンを通しても4勝7敗1分けと苦しんだ。今季対戦成績は9勝14敗2分け。シーズン序盤に生まれた敵地の苦手意識が最後まで影響した。

期待の右腕が広島戦登板に特別な思いを抱く背景には、もう1つ理由がある。新井新監督の就任だ。今オフ帰省して実家のテレビをつければ、新生カープの話題で持ちきりだという。野球少年時代は現役時代の同監督から帽子にサインをもらった経験もある。広島3連覇は「中学生、高1とかなので、めっちゃ(球場で)見ている」。憧れた選手が率いるチームとの対戦だからこそ「嫌な存在になりたい」と力を込める。

11月の高知・安芸キャンプでは、力強いブルペン投球で岡田監督に猛アピールした。指揮官に「若いからきっかけをつかんだらあんなに(良く)なる。まだまだ伸びる」と言わしめるほど期待値は高い。来季、阪神のマツダスタジアム初戦は3年連続で開幕2カード目。今季の二の舞いだけは避けたい。来季もポイントになる広島の戦い。背番号15が地元で負の連鎖を止める。【桝井聡】

○…西純は打撃にも意欲的だ。今季は5月18日ヤクルト戦(神宮)で左腕高橋からプロ初本塁打を記録するなど計6安打。8番起用されるなど力強い打撃は話題を呼んだ。西純は来季に向けて「できるところはやっぱり全力でやりたい。自分で打てたら自分を助けることになったりするので」と気合十分。阪神投手の2年連続本塁打となれば、17、18年の秋山以来となる。

◆阪神の22年カープ戦悪夢 今季は“鯉わずらい”のシーズンとなった。開幕2カード目の敵地3連戦で3連敗を食らい、そのままセ・リーグ史上初となる泥沼の開幕9連敗スタート。その後も広島に苦戦を強いられ、開幕から1分けを挟んで9連敗で、今季初勝利は12試合目の7月6日まで持ち越された。また、8月6日には守護神岩崎が9回に3点差をひっくり返されるなど、敵地で3度のサヨナラ負けを喫した。今季の対広島は9勝14敗2分けで、18年以来4年ぶりの負け越しに終わった。

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