“虎のしくじり先生“が、後輩たちに金言を授けた。97年ドラフト6位入団の阪神OB、奥村武博氏(43)が8日、甲子園球場内で森木や前川ら1年目選手研修のゲストに招かれ、「納税」について約20分間の特別講義を行った。01年に引退した同氏は猛勉強。13年に公認会計士の資格を取得した。「節税と脱税の違い。納税を適切に行う意識を高めてもらうところに重点を置きました」。個人事業主のプロ野球選手は確定申告は自ら行う。今オフ初めて一大イベントに臨む新人たちに重要性を熱弁した。

自身の経験も惜しみなく伝えた。同期は1位が中谷仁、2位が井川慶の世代で、プロ野球生活は1軍出場がないまま4年の短命に終わった。「早く戦力外通告になってしまった経験だったり、自分が“しくじり先生”のような形で、失敗体験を包み隠さず伝えました。会計士の知識と選手だった経験を組み合わせて、伝わりやすい話ができると思うので」。長いようで結果を出せなければあっという間のプロ生活。現在はセカンドキャリアの会計士で成功しているが、野球でお金を稼いでいけることが一番の理想。「選手が1日でも長く野球選手でいてもらえるように」と願いを込めた。

今回縁あってかつての職場、甲子園に戻ってきた。「打撃投手の契約が終了したタイミング以来かもしれない」と、約20年ぶりの聖地を懐かしんだ。「母校のような気になる存在」と阪神の行方を見守る。“虎のしくじり先生”は、今も心強い戦力だ。【前山慎治】

◆奥村武博(おくむら・たけひろ)1979年(昭54)7月17日生まれ、岐阜・多治見市出身。武博の名前は文武両道を願って名づけられた。土岐商3年夏は岐阜決勝で石原慶幸(元広島)率いる県岐阜商に敗れ甲子園出場ならず。97年ドラフト6位入団した阪神では1軍登板なく01年引退。13年に公認会計士の資格を取得し、東京で活躍中。現役時代は188センチ、78キロ。

▽阪神森木 お金のことはやはり大事。プロ野球を経験した(人の話)となるのでより密接(な話)でした。

▽阪神桐敷 節税とか、脱税とか、非課税とか、初めて聞くような単語が難しかった。(納税は)社会人としてやらなきゃいけないこと。

▽阪神前川 お金や税金を早めに準備しないと、切羽詰まったら何もできなくなる。準備をしっかりしろと教わりました。