年末恒例の「言葉の力」を、今年は3回に分けてお届けします。担当記者たちの心に響いた野球人たちの声で2022年を振り返りましょう。第1回はセ・リーグからの言葉です。

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ヤクルト高津監督「僕は自信がありません。でも、君らがやる自信は持っている。君らは絶対、出来ると思う。君らはやる男、できる集団だと思っている。君たちをすごく誇りに思っている。君らはできる男です」(3月25日、阪神との開幕戦を直前に控えた全体ミーティングで選手を鼓舞=鈴木正章)

 

ヤクルト村上「こういう時だからこそより一層、一致団結してやることで力は大きくなるし強くなる。中心っていうのは必ず必要で、その中心に僕がいるってことは、ほんとに自覚してます」(7月11日、チームが新型コロナ感染者続出で窮地に追い込まれる中での4番の自覚=鈴木正章)

 

ヤクルト村上「まだ終わってないんで。もっともっとプレッシャーかけて、押しつぶすくらい、プレッシャーかけてもらいたい」(9月25日、2年連続のリーグ優勝。この時点で55本塁打。共同記者会見で注目される個人記録について聞かれ=鈴木正章)

 

ヤクルト塩見「もう本当に家族のようなチームで、毎日毎日クラブハウスに来るのが楽しみで。本当にいいチームだと思います」(7月2日、自身プロ初のサヨナラ打で2リーグ制後では史上最速となるマジック53点灯。ヒーローインタビューで=鈴木正章)

 

ヤクルト嶋「最後になりますが、あの言葉を言って締めくくりたいと思います。『見せましょう、ヤクルトスワローズの底力を!』。ありがとうございました」(10月3日、引退試合のスピーチで、楽天時代の自らの「名言」を引用=鈴木正章)

 

ヤクルト小沢「ここまで7年かかりましたが、ここからもっともっと活躍できるように頑張るので。これからも応援よろしくお願いします」(7月3日巨人戦で悲願のプロ初勝利。観戦に訪れた両親の前で結果を残し、ヒーローインタビューで感謝=鈴木正章)

 

DeNA牧「男は黙って、打つだけ」(4月26日巨人戦で2ランを含む3安打2打点で勝利に貢献。エスコバーと一緒に上がったお立ち台で決めぜりふを牧流にアレンジし、スタンドを沸かせた=久保賢吾)

 

DeNA山崎「ベル大好きです。あいたいです。ありがとう」(8月24日阪神戦で史上最年少で通算200セーブを達成。昨年亡くなった母ベリアさんへの直筆の手紙で、感謝の思いをつづる=久保賢吾)

 

DeNA伊藤「おい、お前、しばくぞ」(9月9日阪神戦、立ち上がりに制球が乱れた上茶谷がマウンドで捕手の伊藤から掛けられた言葉を聞かれ、お立ち台で暴露した。ただ、伊藤自身はオフのイベントなどで否定し、真相は謎のまま=久保賢吾)

 

DeNA大和「昨日、息子たちと素振りしたかいがありました。練習はウソをつかないなと思いました」(5月24日ソフトバンク戦、代打で適時打を放ち、お立ち台でユーモアあふれる大和節=久保賢吾)

 

DeNA桑原「自分で自分のことだけはバカにするな」(7月1日ヤクルト戦、自身の連敗を止めた今永が、苦境を救ってくれた桑原の言葉を挙げ、感謝の思いを伝えた=久保賢吾)

 

DeNA今永「ここは僕たちのホームではないので、あまり大喜びしてもなって」(6月7日の日本ハム戦でノーヒットノーランを達成した瞬間、喜び方が控えめだった理由を説明。今永の人柄がにじみでる真相だった=久保賢吾)

 

DeNA三浦監督「あとで言います。初球に気をつけろって」(開幕戦前日の3月24日、開幕投手の東への助言を聞かれ、07年の巨人との開幕戦で自身が高橋由に初球先頭打者を浴びたことを自虐的に振り返りながら一言=久保賢吾)

 

DeNA佐野「しっかりと自分のスイングができました。最高の結果となり、良かったデスターシャ!」(6月22日巨人戦で一時同点の7号ソロ。「良かったです」と本塁打パフォーマンスの「デスターシャ」をかけ=久保賢吾)

 

阪神矢野監督「結果的に開幕のスタートにつまずく原因になった可能性もある。迷惑をかけてしまったというのは素直な部分ではある。強いチームは作れなかったけど、全員で良いチームは作れたかなと思う。夢と理想を語りながらやる野球は貫けた、やり切ったという思いは持っている」(10月15日の退任会見で、異例だったキャンプイン前日の退任表明を正直に振り返った。熱くて実直な人柄が最後までにじみ出ていた=石橋隆雄)

 

阪神青柳 「みんな僕のせいにしていたので、僕のせいじゃないでしょ!って(笑い)」(8月30日広島戦。試合開始直前に雨のため中断。1球も投げずマウンドからベンチへ戻る雨柳さんは自ら指を指し笑い飛ばした。45分後に再開し7回4安打無失点とエースの投球さすがです=石橋隆雄)

 

阪神平田2軍監督「今日のは本当にビッグフライイノウエサンだよ。(打球は)どこまで行った? USJまで行ってるやろ。今日はUSJ(台風の影響で)休園でしょ? 休園でよかったよ。アトラクションのところまで十分飛んでいってるのでね」(9月20日、鳴尾浜での2軍戦で井上が左越えの特大アーチを放った時の反応。1軍ヘッドコーチでも勝男節よろしくお願いします=古財稜明)

 

阪神糸井「みんな『ゆっくりしたい』とか言うんですよね? あんまりゆっくりするタイプじゃないんで、筋肥大! 筋肥大したいですね。パンプアップです」(9月13日、引退会見で「引退後は一番何をしたいか?」と問われて。最後まで糸井節は健在だった=古財稜明)

 

阪神湯浅「監督から『楽しめ』と言われたので、本当に楽しみながらバッターに向かっていくだけでした。マウンドでは絶対、弱気になりたくない」(10月10日、DeNAとのCSファーストステージ第3戦の9回1死満塁。マウンドで矢野監督から直接言葉をかけられ、無失点に抑えた直後のインタビュー。まさに「言葉の力」でピンチを切り抜けた=中野椋)

 

阪神近本「僕の中では早く終われと思ってましたけど(笑い)。明日から新しい自分に挑戦できるので、楽しみです」(7月7日、連続試合安打が「30」でストップした直後、感想を問われ。記録に固執せず成長を求める近本らしさが凝縮されていた=中野椋)

 

阪神才木「本当に3年間手術とリハビリで、とてもしんどかったんですけど…ずっと支えてくれた人たちのおかげで今、ここに戻ってこられることができた。本当に感謝の気持ちしかないです。その人たちの思いも一緒に持ってこれたらいいなと思って、思い切って腕振って投げました」(7月3日中日戦。右肘トミー・ジョン手術から1159日ぶりの勝利に涙しながら答える姿に心打たれました=三宅ひとみ)

 

阪神藤浪「本当は海外FA権を取って自分の力で行くのがベスト。タイガースでいい成績を残して、タイガースを優勝させて行くのが一番だったけど…」(10月17日、球団のポスティング制度容認を受けて。チームへの責任感と夢のはざまで揺れ続けた感情が一瞬にじみ出た=佐井陽介)

 

阪神大山「『なんでレフト?』とか、そんな気持ちは全くない。文句を言う暇があるなら準備した方がいい」(後半戦初戦前日の7月28日、主砲でありながら三塁、一塁、左翼とポジションが固定されない状況にも、雑音を一蹴するかのように=佐井陽介)

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