朗希にレジェンドのお墨付き! 

侍ジャパンのロッテ佐々木朗希投手(21)が4日、沖縄・石垣島キャンプ2度目のブルペン入りし、日米通算201勝の野茂英雄氏(54=パドレス・アドバイザー)も熱視線を送った。野茂氏の「伝家の宝刀」だったフォーク13球を含む全63球に、同氏は仕上がりの早さを評価。WBCでの活躍にも太鼓判を押した。吉井監督を含めた3人で変化球の握り方や投球内容を対話する場面も。最速164キロの「完全男」は、世界の「ドクターK」の期待も背負った。

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佐々木朗希と野茂英雄-。時代は違えど、誰もが憧れるスーパースター2人の真剣なまなざし。緊迫感にあふれ、話し声一つしない緊張の糸が張り詰めた。開始から10球連続でストレート。最速157キロ。約25メートル先には、フォークと剛速球を武器に世界に認められた「パイオニア」野茂氏の姿があった。

フォーク13球、スライダー22球、ストレート28球。見届けた野茂氏は「2月初めにしてはだいぶ出来上がっているんじゃないかと思います」と仕上がりの早さに、大きくうなずいた。さらに「(球速は)もともと球は速いんでね。WBCもありますし、本人も意識していると思うので」と続けた。メジャーでも通用するかを問われると「そんなん言わなくても大丈夫。みんな分かっていますから」と太鼓判を押した。

11球目に初めて投じたスライダーがあまり曲がらず、苦笑いを浮かべる佐々木朗。続くスライダーがワンバウンドすると黄色いグラブをポンっと軽くたたき、少し悔しい表情。スタッフに「他のボールもんでありますか?」とWBC公式球の交換も求めた。17球目には初めてフォークを披露。捕手に「落ちてる?」と確認して自身の感覚と照らし合わせる。大粒の汗を右腕のアンダーシャツで拭って、大きく息を吐くほどの緊張も感じた。

受けた松川は「スライダーは縦に入ってくる曲がりもありますし、本当に使えると思いました」との新球種に手応えを得ていた。滑りやすいWBC球に対応するために、新たな握りを試す過程で生まれた“縦スラ”。「1球種でも増えれば打者も考えることが多くなる」と幅は広がった。

投球直後の室内で、野茂氏から佐々木朗に歩み寄った。近鉄時代の僚友で仲介した吉井監督は「球種や投球内容について『こうしろ』というわけではなくて、野茂は『こうやっていた』という例を話してくれた」と明かした。佐々木朗もかぶっていた帽子をとり、聞き入った。世界を封じてきた“金言”を心に留めた。【鎌田直秀】

 

野茂氏と若手の逸材の交流

◆金子千尋(オリックス)08年秋季キャンプで臨時コーチを担当し、ツーシームを伝授。翌年2月には球団のテクニカル・アドバイザーに就任し、試合に同行して助言を繰り返した。

◆前田健太(広島)10、11年春季キャンプに臨時コーチとして参加。11年には前田について「僕がアドバイスできる投手じゃない」と太鼓判。フォークを教わった前田が紅白戦で披露する場面も。

◆大谷翔平(日本ハム)16年春季キャンプを訪問。ネット裏から紅白戦などを視察し、「誰にもまねできないくらいの選手になってほしい」とエール。シーズン中には札幌ドームに足を運び、食事をしたことも。

◆板東湧悟(ソフトバンク)22年秋季キャンプを視察し、若干体をひねるフォームの板東に個別指導。投球リズムや上半身、下半身の使い方などをアドバイス。

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