足を上げない新テル打法、完成間近! 阪神佐藤輝明内野手(24)が、待望のオープン戦1号をかっ飛ばした。「5番三塁」で出場したヤクルト戦の3回第2打席。小川の内角低めの真っすぐ完璧に捉えて右翼席に運んだ。上半身はグリップを下げ、下半身は右足をほとんど上げない新打法での1発に本人も手応え十分で、岡田彰布監督(65)も高評価。3年目の“進化発揮”で大活躍の予感だ。

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23年型の新打法が神宮球場で開花した。4点リードの1死。佐藤輝はヤクルト小川が投じた渾身(こんしん)の内角低めの直球をフルスイング。打球は悠々と右翼席に着弾した。「内角のいい球をうまく引っ張れてよかった」。対外試合は7日の韓国戦で放ったバックスクリーン左への1発以来、オープン戦11試合目での待望1号となった。

右足をほとんど上げない新フォームで結果が出始めている。飛距離と確実性をダブルで求める今季は、グリップの位置を下に下げ、スタンスを広げるなど試行錯誤。大きく上げていた右足はすり足に近い形に落ち着いてきた。足の上げ幅を小さくすることで目線がブレず、タイミングも取りやすいメリットがある。自分の感覚を研ぎ澄まし、この打法に変えたという。「そっちの方がいいし、良い感じにきている」。打撃練習はノーステップで打ち込むなど、体に染みこませる日々で、この日は韓国戦よりさらに上げ幅を縮小。描いた会心アーチで手応えは確かなものになった。

進化した対応力も発揮した。初回2死三塁。小川の内角低めの直球に詰まらされながら、左前にポテン適時打。だが内容は打ち取られていたただけに「頭にはありました」とにやり。3回、再び同じコースで打ち取りにきた真っすぐを、スタンドに運び去った。

岡田監督も笑顔だ。「やっと出よったな。ステップとか変えてな。きのうの室内で(練習して)ええ感じになってきたんちゃうか」。自分で考えてモノにしつつある姿がうれしかった。

前夜はWBCで侍ジャパンがイタリアを倒し、5大会連続の4強入りを決めた場面を焼きつけた。同期入団中野や同学年の牧に「アメリカでも頑張ってほしい」とエールを送り、「お土産ほしいです」と笑った。

オープン戦は10試合連続出塁で打率2割7分と好調をキープ。かえすだけでなく、つなぎでも貢献している。新打法で結果を出す背番号8のニュースタイルに、ヤクルトも警戒感を強めたはずだ。【三宅ひとみ】