阪急で盗塁王を3度獲得し、引退後は通訳などでも活躍したロベルト・バルボンさんが12日、急性肺炎のため兵庫県西宮市内の病院で死去した。オリックスが17日に発表した。89歳。葬儀・告別式は家族葬で行った。

バルボンさんは1933年3月13日生まれ、キューバのマタンサス州マタンサス出身。55年に阪急(現オリックス)に入団。早春に来日し、東京・羽田空港に着いた。翌日、都内でオープン戦を観戦。常夏のキューバ出身とあり、雪の中での試合に仰天したという。

1年目にいきなりパ・リーグ最多の163安打を放った。58年からは3年連続盗塁王。58年は二塁手としてベストナインにも選出された。65年に近鉄へと移り、同年引退した。

来日当初は、3年で帰るつもりだったが、59年のキューバ革命で帰国困難になった。再び祖国の土を踏んだのは88年だった。

通算308盗塁は外国人選手最多。阪急在籍中297盗塁は、オリックスと名を変えた現在も福本豊の1065盗塁に次いで2位だ。通算1353試合出場は、07年にオリックスのタフィー・ローズに更新されるまで外国人選手最多を誇っていた。

愛称は、スペイン語で「男の子」を表す「チコ」。阪急西宮北口駅の売店横に立ち、客と店員のやりとりを聞いて日本語を学んだ努力家でもあった。

引退後はコーチを経て阪急・オリックスの通訳に転身。流ちょうな関西弁を駆使し「ブーマーが『西武に勝ってうれしい』って言うとるワ」などといった独特の言い回しでファンに愛された。

通算成績は1123安打、33本塁打、260打点、打率2割4分1厘。