東海大静岡翔洋中が3回戦で愛知中央クラブ(愛知第2)に5-6の逆転負けを喫し、大会を去った。初戦となった2回戦は富士見中(神奈川第2)を2-0で下したが、勢いは続かなかった。また県勢は静岡シティクラブ、三ケ日中、フジヤマベースボールクラブも3回戦までに敗退。桜が丘中だけが勝ち上がり、25日の準々決勝でホワイトベアーズベースボールクラブ(愛知第1)と対戦する。

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無情にも打球は外野の芝生で弾んだ。東海大静岡翔洋中3点リードで迎えた最終7回。適時打に2点適時失策が絡み、同点とされた。なおも続く2死二塁のピンチ。エース池谷冴虎(3年)が投じた渾身(こんしん)の直球が、中前に運ばれた。勝ち越しを許すとその裏、チームは3者凡退に倒れて試合が終わった。

つかみかけた勝利が土壇場で手からこぼれ落ちた。ナインは、ぼうぜんとグラウンドを見詰めた。7回無死一塁の場面で右翼の守備から再登板した池谷。窮地は救えなかった。「勝てる試合だった。ピンチを抑えられず悔しい…」。目を真っ赤にして悔やんだ。

寺崎裕紀監督(33)が「経験の春」と位置づけた今大会。収穫もあった。2回戦では130キロ台後半の直球を連発した富士見中・津波瑞輝投手(3年)から2点を奪い、競り勝った。3回戦でも4番小泉慶周主将(3年)が2点適時三塁打を放つなど、相手の6安打を上回る9安打をマーク。2戦合計8盗塁と足でも揺さぶった。指揮官は「練習の9割を攻撃に割いてきた。やってきた事は出せたと思う。選手たちはよく頑張った」とねぎらった。

チームは来月22日から夏の大舞台となる全日本少年軟式野球(横浜スタジアム)につながる県大会に臨む。小泉が「守備も鍛えて、夏は全国制覇したい」と話せば、池谷も「この経験を生かしたい。守備力を向上させて夏は勝ちたい」と歯を食いしばった。春に流した悔し涙を糧に、はい上がる。【前田和哉】