巨人のサカチョー復活に東京ドームが揺れた。

坂本勇人内野手(34)が犠打でつなぎ、長野久義外野手(38)が代打適時打を決めた。同点の7回1死満塁、岡本和、中田翔、大城卓を塁上に、5年ぶりにチームに帰ってきたベテランが一時勝ち越し打をマークした。同点に追いつかれた8回には丸が1号決勝ソロ。9回は守護神大勢が今季初登板で初セーブを挙げ、中日との開幕カードを2勝1敗で勝ち越した。

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坂本はサインにうなずいた。同点の7回無死一、二塁、中日勝野を前に上体をかがませた。初球の133キロスライダーを投前にきっちりと犠打を決めた。

長野は一塁側ベンチ裏のミラールームで準備を整えていた。大城卓の申告敬遠で1死満塁、代打長野がコールされた。広島から復帰後、初打席。大歓声で東京ドームが揺れた。4年間、聞けなかった応援歌が響いた。

坂本がタオルを首からかけて、ベンチ下手の最前列から身を乗り出した。スタンドは応援歌からチャンステーマに切り替わった。

長野が打席の土を蹴りながら漆黒のバットを立てた。カウント1-1からの外角に逃げる137キロスライダーをつかまえた。ワンバン、ツーバン、スリーバンと弾み、三遊間を破った。

坂本はベンチの柵を越えて飛び出した。両手でガッツポーズした。無邪気に両手をたたいて喜んだ。

長野は右拳を突き上げた。「和真、翔、勇人、みんながつないでくれたチャンスだったので何とかしなければという打席でした」。左人さし指を立ててベンチに呼応した。

11年前の伝説の名シーンとシンクロした。

2012年。坂本と長野が最終戦で最多安打のアベック受賞を決めた。3安打目で安打数が追いついた二塁ベース上の坂本に、長野は一塁側ベンチから両手でガッツポーズを繰り返した。

背番号6と7。サカチョーには2人だけの深い絆がある。スタンドのみならず、全ての巨人ファンがつくりだす特別な空気感が、サカチョーを物語っている。

坂本は今季ここまで7打数無安打と苦しむ。長野は8回2死二塁で高橋周の左翼ファウルゾーンのライン際の飛球を捕球しきれず「投手に迷惑をかけてしまいました。下手くそなのでしっかりと練習します」と猛省した。

幾多の苦楽をともにした最愛の最強コンビ。サカチョーが復活した。【為田聡史】

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