トラの1番打者は、ミスター三塁打だ。阪神近本光司外野手(28)が2打席連続三塁打で勝負を決めた。

まずは1点リードで迎えた6回だ。先頭で打席に入ると、広島遠藤から右翼線へ痛烈な打球を飛ばした。無死二塁でもOKだったが、フェンスに当たって跳ね返る打球。右翼手の位置取りを見て「行ける」と瞬時に判断し、一気に三塁を陥れた。1死からノイジーの適時二塁打で2点目のホームを踏んだ。

7回はダメを押した。1死三塁から代打原口が四球を選び、代走小幡が二盗で二、三塁。「犠牲フライでいい」という気持ちで入った打席で、今度は左中間を破る2点適時三塁打でリードを4点に広げた。広島のマウンドは、左腕黒原で、関学大の後輩にあたる。「(後輩は)バリバリ意識します。申し訳ないなと。でも何が最善かなと思ったら犠牲フライかなと」。

前日も左中間への三塁打を放つなど、2日間で3本を稼いだ三塁打は、広島秋山と並び開幕15試合でリーグ最多の4。日本記録の18を大幅に更新する勢いだ。それでも本人は「二塁打を増やしたいと思っていたので、二塁打が増えないのは悩みです。ホームランも打ちたいですね」と笑った。

一方で今季の盗塁はまだ1個。岡田監督からは、6回の三塁打のとき「ヒット打たんと走られへんで」と言われたという。ぜいたくな悩みを口にできるほど三塁打を量産すれば、もっと簡単に得点できる。【高垣誠】

▼近本が2本の三塁打を放ち、今季15試合で4本目とした。広島秋山と並び12球団最多タイで、143試合に換算すると38本ペース。シーズン最多の三塁打は1951年(昭26)に阪神の金田正泰が記録した18本。近本は日本記録を上回るハイペースで量産中だ。

■追加点奪う一撃

3番ノイジーのバットで追加点を奪った。1点リードの6回、1死三塁。遠藤のチェンジアップをとらえ、右中間への適時二塁打を放った。「なんとか外野まで打ちたいという気持ちだったよ。大事な場面で、チームの力になれてうれしいね」と笑顔。本人は「状態はあまりよくない」というが、打率2割9分3厘と好打率をキープしている。

■1軍3年ぶり安打

今季初スタメンの井上が今季初安打を放った。5回無死二塁で広島遠藤の変化球を逆方向に飛ばし右前打。岡田監督の起用に応える安打で先制点につなげてみせた。1軍での安打は20年10月16日ヤクルト戦(甲子園)以来となった。18日に1軍に今季初昇格したばかりで「なんとか次につなげたい気持ちだった。これからも結果を出し続けていきたい」と振り返った。

■ラスト0封締め

K・ケラーが1回無失点でラストを締めた。5点リードの9回に登板。1死からマクブルームに右前打を許すも、最速154キロの直球で押し込む投球で西川、デビッドソンを連続の空振り三振で仕留めた。「大竹、サダ(岩貞)といつも通りいい仕事をしてくれて、その流れに乗ってきっちりと締められてよかった」と振り返った。