天理大が5季連続優勝を果たした。勝ち点4に伸ばし、1節を残して勝率で上回ることが確定した。リーグ代表で6月5日開幕の全日本大学選手権(神宮、東京ドーム)に出場する。

今春は大産大との大熱戦をサヨナラで勝ち切るなど接戦続き。藤居海斗投手(4年=近江)、真城翔大投手(4年=高知商)の2本柱以外の投手も貢献した。野手も走攻守で飛び抜けた存在だったロッテ友杉篤輝内野手(22)の穴をカバー。中川彰主将(4年=天理)は「柱が抜けたけど、全員で戦おうと言ってきた。毎試合、違うヒーローが出たのがよかった」とチーム力の充実を勝因に挙げた。

勝てば優勝が決まる試合だった。1-2の4回に小林太郎捕手(4年=松商学園)が逆転の決勝二塁打を放った。この試合3安打の9番打者は「どうにか1点をと思っていました。僕は打撃はよくないので、つなぎと打点にこだわってきた」と笑顔を見せた。

松商学園では2番手捕手だった小林は、現広島の石原貴規捕手(25)と入れ替わりで入学した。声かけや元気さを買われ、1年秋に捕手で抜てきされると、2年春からは正捕手に固定された。そのシーズンから5連覇が続いている。地味ながら黄金時代を陰で支えてきた存在だ。

藤原忠理監督(57)は「小林の成長とともに安定した勝ち方ができるようになった。やはり野球は捕手です」と絶賛した。グラウンドの司令塔として全幅の信頼を置いた。この日の先発は1年生の的場吏玖(大阪電通大高)だったが、小林は丁寧な声かけで4回途中まで2失点でまとめた。制球に苦しむ2番手の本間悠貴投手(4年=大冠)も9回まで1失点で粘った。

最上級生で初めて味わう優勝の味。「自分が副キャプテンをしている間に連覇が途切れるのは嫌だった。下級生から出させてもらって、だんだん落ち着いてプレーできてきたと思う。天理大は全国ベスト8が最高なので、上位を目指して1歩1歩勝っていきたい」。太郎の名前を持つ、頼れる捕手。天理大を支えるドカベンはさらに上を見ている。【柏原誠】