オリックス平野佳寿投手の恩師、京産大野球部元監督の勝村法彦氏(66)は、自身を「地味なんで」と繰り返す教え子に言ったことがある。「地味ではなしに、地道なことをしっかりコツコツできる選手やと思うで」。

4年間、1度も練習を休まなかった。授業にはきっちり出席し、3年時には卒業単位をほとんど取得した。「直球を伸ばせるだけ伸ばそう」という育成方針で、1年の8月まで試合で投げていたのは直球だけ。「普通、変化球投げたいとか出てくるんですけど…」。いつも目の前のことに、黙々と取り組んでいた。

今春、勝村氏は初めて教え子のキャンプを見に行った。1球1球を大切にキャッチボールする姿がうれしかった。「バランス、ステップ、体重移動はピッチャーの基本。丁寧なキャッチボールは、学生時代から変わっていなかったです」。

登板前に行う股割りのルーティンも、大学3年の頃から変わらない。「人間的にも変わらず、取り組みも変わらず。コツコツできるのが最大の長所。地道なことが、なかなかできないんですよね」。地味ではなく、地道な積み重ねが偉業につながった。【磯綾乃】

【関連記事】オリックスニュース一覧