日本ハムの上沢直之投手(29)が、9回120球を投げ、4安打完封でリーグトップに並ぶ4勝目を挙げた。完封勝利は18年6月26日ソフトバンク戦以来5年ぶり。直球系を痛打され自己ワーストタイの3被弾した6日楽天戦の反省から、相手に的を絞らせないよう使う変化球を精査して組み立てた。前日16日に延長戦で9人を費やした投手陣を休める面目躍如の投球となった。

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勝利の瞬間、上沢はグラブをポンとたたいて右拳を力強く握り締めた。完封勝利は5年ぶりだが、北海道に限ると14年9月15日オリックス戦(札幌ドーム)以来、実に3166日ぶり。「昨日もたくさん中継ぎの方が頑張ってくれていたので。1イニングでも長く投げたかった。最終回のマウンド上がるときの手拍子が、僕に届いた」と、新球場に集まった1万8082人の観衆に感謝した。

チームのために体を張った。7回1死、マキノンの鋭い打球が右臀部(でんぶ)横を直撃。「大丈夫でしたけど、1回下がって(処置して)いいですかと言いました。ブルペン見たら玉井さんが急いでつくっていて。大丈夫なんだけどなあと、思いながら見ていました」。赤くみみず腫れになっていたが、走ってマウンドに戻り、中継ぎ陣に頼ることなく、西武打線を1人で封じ込めた。

前回登板の反省が生きた。6日の楽天戦は自己ワーストタイの3本塁打を浴び、7回4失点降板。すべて直球系の球を捉えられ「真っすぐをいかに強く振らせないか。そのためには他の変化球の精度が大事」と対策を練った。打たれている変化球とそうでない球を自ら精査し「カットボールは減らした」。逆に「あまり使わない」というチェンジアップを多用し、7回には本塁打リーグ1位、打率2位の好調中村から、空振り三振を奪った。

前回とは打って変わった好投に建山投手コーチも「いつもと違うパターンで、チェンジアップをうまく使っていた。その日のいいボールをチョイスして組み立てていたのは、さすが」と感服した。

初めて試合で着た新庄監督プロデュースのユニホームは「僕は似合っているんじゃないかな。いつもよりハイウエスト気味で、ユニホームの上もだぼだぼってやらないで、しっかり(ズボンに)入れました」。着こなしも投球も細かいこだわりをちりばめ、ヒーローのようにかっこ良く、白星をつかんだ。【永野高輔】