あの熱狂がよみがえった。ソフトバンクが侍戦士たちの活躍で2位に浮上だ。近藤健介外野手(29)が初回に一時は逆転となる5号2ランを突き刺すと、2回には甲斐拓也捕手(30)が中前適時打を放ち、勝ち越しに成功した。この日からペイペイドームでWBCの優勝トロフィー展示が開始。その初日に日本中を沸かせた侍たちが躍動した。首位ロッテとは1・5ゲーム差と射程圏内だ。

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侍ジャパンで世界一に貢献した甲斐が、今季2度目の決勝打を放った。2-2の2回無死一、三塁で西武松本のカットボールを中前へ。2試合連続タイムリーが値千金の勝ち越し打だ。ペイペイドームには、この日から侍ジャパンのWBC優勝トロフィーをはじめ、集合写真パネル、選手着用ユニホームの展示が開始。記念すべき日にヒーローになった甲斐は「(トロフィーは)あまり意識してなかったですけど、勝つことが出来て良かったですね」とうなずいた。

22歳の野村大、25歳の川瀬が連打で作ったチャンスを生かした。「今日はたまたま結果が出ましたけど、続けていかないといけない」。直前には同じく侍ジャパンで活躍した近藤も打った。1点を追う1回1死一塁。一時逆転の5号2ランを逆方向、左翼ホームランテラスに運んだ。「自分のスイングをすることだけを考えました。結果的に最高の形で逆転の1本となって良かったです」。

近藤は大谷翔平の前を打つ「恐怖の2番」として、WBCでは打率3割4分6厘の好成績を残した。甲斐は扇の要として守備で貢献した。侍コンビがそろって躍動。20~22年に6連敗を喫した天敵松本を2回途中5失点でKOさせ、ドームにはWBCを想起させる熱狂がよみがえった。

ベンチで何度も手をたたいた藤本博史監督(59)も「(甲斐)拓也はいい仕事をしてくれた。近藤も点を取られてすぐに点を取ってくれた。いい形でゲームができましたね」とご満悦だった。チームは2連勝で、10日ぶりに2位へ浮上。試合のなかった首位ロッテとは1・5ゲーム差に迫った。【只松憲】

○…今宮が貴重なタイムリーを放った。3-2の2回1死二、三塁で中前2点適時打。直前には中村晃が犠打でお膳立てしており「晃さんが決めた送りバントを絶対に生かそうという気持ちしかなかったです。チャンスを生かすことができて良かったです」と胸をなでおろした。最終的に1点差ゲームだっただけに、選手会長の一振りは大きかった。