マー君がチームの連敗を5で止め、リーグ戦再開後の初勝利をもたらした。

楽天田中将大投手(34)がソフトバンク打線を7回5安打1失点に抑え、今季4勝目。約1カ月ぶりの白星で、日米通算194勝として、200勝まで残り6勝とした。最速151キロの直球に力が戻り、ツーシーム、スプリット、スライダーが生きた。東京ドームでの勝利は10年ぶり。最下位に沈むが、夏本番を前に浮上への1歩とする。

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田中将は笑っていた。2点リードで迎えた7回先頭。ソフトバンク三森にボテボテのゴロを打たせると、マウンドから猛然と駆け降りた。体勢を崩しながら一塁へ投げる。ぎりぎりのタイミングでアウト。自らの好フィールディングもあったが「ファーストの(鈴木)大地、(ボールが打者走者と重なり)見えてないですからね。先頭だったし非常に大きかった」と感謝のスマイルだった。5回2死では近藤の大飛球を右翼小郷がフェンス際、ジャンプでもぎ取った。ここでも笑顔で応えた。鬼気迫る表情が代名詞の右腕だが、仲間たちのもり立てに喜怒哀楽の“喜”も忘れなかった。

心中は燃えていた。チームは5連敗で交流戦明け、いまだ勝ち星なし。「流れを止めるのは自分しかいない」と強い決意で臨んだ。自身も黒星先行。7失点が2度もあった。モヤモヤが募らないはずがない。ただ「目の前のこと、やってくだけです。1日1日だし、先、見たって、どうなるわけじゃない」とぶれなかった。状態は「上がっている」から直球が走り、同じ軌道からのツーシーム、スプリットが生きた。1-0の3回2死一、二塁で柳田。150キロ台を続けた勝負は10球の末に四球。だが、続く栗原を初球スプリットで一ゴロ。硬軟織り交ぜた経験値が詰まっていた。

相手左腕にも刺激を受けた。今や、数少なくなった年上の42歳和田との投げ合い。「大先輩だけど、自分を高めて去年最速も出して。自分自身も年取って落ちていくところもあるけど、どう向き合って緩やかにしていくか。まだまだ伸びるところもあるかも知れない」ときっぱり言った。お立ち台でファンに言った「まだまだ、ここから行きます。ともに頑張りましょう」の誓い。そう、マー君も、楽天も、まだまだここからだ。【古川真弥】

○…楽天打線が小刻みに田中将を援護した。2回2死から、鈴木大、山崎の連続二塁打で先制。山崎は「打ったのはスライダー。先制できて良かったです」。5回は辰己、7回は小深田と適時打を重ね、好機を確実にものにした。石井監督は「得点したから、投手も1点の失点は大丈夫とプレッシャーから解放された」と、投打がかみ合ったことを評価した。

▽楽天石井監督(田中将に)「真っすぐは、いい感じで投げられていた。真っすぐが軸にできるから、スプリットやスライダーが生きる。相乗効果はあった」

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