ベテラン左腕がダブルの快挙で自力Vの再復活を導いた。

ソフトバンク和田毅投手(42)が、楽天打線を6回途中1失点に抑え、2カ月ぶり白星となるチーム単独トップの6勝目。42歳以上でのシーズン6勝はパ・リーグ史上初の快挙だ。40代での奪三振数も208個に到達し、若林忠志(毎日)の206個を抜いて歴代3位に浮上した。首位オリックスが敗れてゲーム差が「9」となり、再び自力優勝の可能性が復活。和田さまさまの会心ナイトになった。

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和田が元メジャー対決で意地を見せた。8学年下の楽天田中将と今季3度目の投げ合い。過去2戦はともに敗れていた。「田中投手に3回連続で投げ負けるわけにはいかなかったので、気持ちを込めて投げました。そこは意識しました」。6回途中1失点。日米通算196勝の右腕に「三度目の正直」でリベンジ。負けじと日米通算161勝だ。

球速は140キロ台後半。スライダーやチェンジアップも織り交ぜ、楽天打線を封じた。4回に4番浅村を空振り三振に仕留め、40代での奪三振数が207個に到達。若林忠志(毎日)の206個を抜いて歴代3位に浮上した。「相手のキーになる選手。抑えるのと打たれるのは大きな違いだった」。次打者の阿部はこの日4個目の三振となる見逃しで奪い、通算208奪三振。「スライダーもコントロールも良かったです。そこはうまく(甲斐)拓也がリードしてくれました」と女房役に感謝した。

不惑を超えたベテランには自然と記録がついてくる。白星は6月9日の巨人戦以来、約2カ月ぶりだが、チーム単独トップの6勝目。42歳以上でのシーズン6勝はパ・リーグ史上初で、奪三振と合わせてダブルの快挙を同日達成した。「年も年ですし、同じ成績なら若い子を使うと思う。抜けた結果を出さないといけないと常に思っています。ダメならやめるだけなので」。現状に満足しない危機感が和田を突き動かしている。

台風6号の影響で試合が中止となった一夜明け。テンポのいい投球が打線にリズムももたらし、14安打11得点の猛攻に一役買った。首位オリックスが敗れ、ゲーム差は「9」に縮まった。勝利したホークスは再び自力優勝の可能性が復活。藤本博史監督(59)は「1位とはだいぶ離されているけど、まだまだチャンスはある。選手も諦めていない。選手にハッパをかけながらやっていくのは僕らの仕事」と手綱を締めた。可能性がある限り、かつての王者は3年ぶりのリーグ優勝を狙う。松坂世代最後の現役選手が、チームに希望の光をともした。【只松憲】

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