これも余裕のなせる技か。阪神岡田彰布監督(65)が8回、若手をあえてピンチに送り出す継投でまんまと逃げ切りに成功した。

同点で2死二塁。3番山田を迎えると、岡田監督はこの日再昇格したばかりで、まだ実績のない大卒2年目変則右腕岡留を告げた。プロ2試合目でトリプルスリー・山田とのマッチアップ。フルカウントからスライダーがワンバウンドして四球となったが、笑みも浮かべながら続く4番村上には左の及川をコールした。こちらも四球で歩かせたが、岡田監督には想定内だったようだ。

「予定通り。アメリカ帰ったり、連投しすぎたりでベンチに入ってなかったから」。この日ケラーが家庭の事情で米国へ緊急帰国。右で一番安定している加治屋はこの日は休養のためベンチを外れていた。「2死二塁だったからね。満塁までOKだから。岡留、及川は四球でOKで行けと言ったら本当に四球だったけどね」と笑った。

岡留は抑えればプロ初ホールド。及川は8日の再昇格後初登板で、勝敗を分ける大舞台での投入だった。「(2人とも)2ストライク追い込んだけどな。そこでもう1球いい球を放れるようになったら、1軍にもっと定着すると思うけどな。抑えたら)ものすごく自信ついたと思うけどな」。ある意味勝敗は度外視。今後を見据えて経験を積ませる意味が強い登板だったことを明かした。

そして2死満塁になると経験のある馬場を5番手でマウンドへ。サンタナの打球は中堅へのライナー。何とか近本が抑え「0」で切り抜けた。直前の右翼森下の好捕も含め、安打性が続いたが「あれはみんな流れがよかったからやで。野手の正面にいくのは」と奮闘をたたえた。

9回は守護神岩崎が1死二塁のピンチを背負ったが「最後も同点OK言うてたから。みんなそんなきゅうきゅうになるな。勝ってるチームやのに。そんな1点守る必要ないと」と指示。「アレ」への最終盤に向け、もっとチームを成長させようと采配しながら、8連勝を勝ち取った。【石橋隆雄】

▽▽阪神岡留 (8回に1軍昇格即登板も山田に四球を与えて降板)「こういう場面で投げたのはいい経験になった。次投げる機会があったときは、しっかり自分のピッチングをしてチームの勝利に貢献したいです」

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