巨人山崎伊織投手(24)が7回2/3を3安打1失点の快投でハーラートップにあと1勝と迫る9勝目を挙げ、チームの連敗を4で止めた。最遅93キロのスローカーブと最速150キロの速球。球速差57キロの“ギャップ投法”でDeNA打線を翻弄(ほんろう)した。5回までは完全投球でリズミカルにイニングを進めた。交流戦後の6月の休養日にミュージカル「美女と野獣」を鑑賞した若手ホープが連敗ストップの主役を演じた。

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山崎伊がスッと力を抜いた93キロのスローカーブを投げ込んだ。3点リードの7回無死、DeNA宮崎への4球目だった。追い込んでからタイミングを外させるしなやかな軌道の遅球は美女のようだった。1回1死でも関根に103キロで空振りさせて追い込むと、内角への149キロ直球で二ゴロに打ち取った。荒々しく強気な最速150キロ速球は野獣のようだった。

速球を軸に不意に投げ込む遅球で相手打者を困惑させた。「緩急を使いながら絞らせないっていうのが大事なのでいろいろ使いながら」とギャップを巧みに操る計算ずくの演出で8回途中までを1失点で投げきった。前回登板の5日広島戦は3回途中を4失点KOから見違える投球でチームの連敗を止めた。

6月上旬の休養日に静寂に包まれた劇場で「美女と野獣」のミュージカルを観劇した。心優しい「美女」のベルと、優しさを失い人間から変身させられてしまった「野獣」とのラブストーリーに夢中になった。ステージと客席が呼応するカーテンコールは全力で手をたたいた。「めっちゃ面白かった。他のも見てみたくなりました」。劇場内が一体で作り上げる空気感に魅了された。

演者としての精神はプロ野球選手としても通ずる。夏休みでいつもより遠方かつ、大勢のファンの熱視線を受けた。「僕たちは143試合を戦っている中で、観に来てくれる方は1試合だけしかないので、しびれる試合を見せられるのが一番いい」とファンファーストを胸に刻む。自身初の2ケタ勝利まで、あと1勝に迫る快投劇を全うした。東京ドームに降り注いだ「伊織コール」を全身で浴びて言った。「1試合1試合、目の前の試合を投げているので。まだ試合もありますし、まだまだこれからだと思います」。若き右腕は次戦も主役を演じきるつもりだ。【黒須亮】

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