阪神佐藤輝明内野手(24)が、夢のアーチを描いた。6回2死一塁で赤星からバックスクリーンに飛び込む2ラン。「頼むから入ってくれ! と思って走っていました」。プロ野球史上7人目、左打者では史上初の新人から3年連続の20号だ。2試合連発の優勝弾。やっぱり怪物だ。

「もう間違いなく僕史上で一番最高な日ですね。今までで一番の歓声でした」

6月24日夜、新横浜駅から名古屋への新幹線で同期入団の栄枝にLINEを入れた。「明日からよろしく」(佐藤輝)。「どしたん?」(栄枝)。「今、名古屋向かってる」(佐藤輝)。6月は打率1割7分9厘。DeNA戦後、2シーズンぶりとなる2軍降格を告げられていた。「ホテル着いたら部屋来いや」(栄枝)。最後にそんなメッセージが送られてきた。

午後11時、栄枝の部屋にこもった。「終わったことはしゃあない」「すぐ上がるんやし調整したらええ」。静かに寄り添ってくれた。それが、身に染みた。カード途中の2軍行き通告。心にモヤモヤがなかったわけではない。それでも、現実を受け止め前を向けたのは、仲間のおかげだった。「明日から頑張っていくわ」と言い、部屋を出た。

翌朝には和田2軍監督に「やります!」と言い切った。目の色が変わった。「同期唯一の野手なんでね、ありがたかったですね」。今でも、あの30分の会話を忘れない。プロ3年目。また強くなれた瞬間だった。

本塁打と打点でチーム2冠。岡田監督の方針で三塁に固定された守備も含め「まだまだじゃないですかね」と、さらなる高みを見据える。西宮生まれ西宮育ち。地元甲子園で、大器の笑顔が輝いた。【中野椋】