西武隅田知一郎投手(24)が勝った。

投げ合ったのはロッテ佐々木朗希投手(21)。相手の一定の球数目安があったとはいえ、まず勝ったのは事実だ。

共通項がある。4球団競合でのドラフト1位-。佐々木朗は19年秋、隅田は21年秋。年度は違えど、多くのプロ野球チームから最大級の評価を受けた。

多くの人が体験できることではない。多くの報道陣に囲まれて指名を待つ。佐々木は「とても光栄なこと」としつつ「就職先が決まるので、どこになるのかなと思ってました」と割と現実的な言葉を選んだ。

隅田は。

「(報道陣が)たくさんいましたね。そうですねー、もうなんか、全部が初めてのことで、こんな注目されることあるんだ~っていうくらいでしたね」

波佐見(長崎)を経て、西日本工大でその年の「12人」に入れるだけの能力を手に入れた。当日も西武をはじめ4球団が1位指名で入札した。

「うーん、いやぁ、思ったより評価高いなって思いました。こうやって、あの、地方の大学の選手を1位指名してもらっているので。たぶん(東京)6大学とかのドラ1とかとはまた違う感じが僕はしました」

学校には多くのスカウトが訪れる。ドラフト候補選手だって、なんとなくは分かる。

「僕は、ライオンズとヤクルトのイメージがなんか強かったので」

そして西武が「交渉権確定」を引いた。会見はご時世柄、マスク着用。表情は見えなかった。

「そういうイメージだったので、意外とスッと。あ、西武行くんだな~っていうような感じに」

うれしかった。

そして、もうすぐ2年がたつ。負け続けたけれど、魔球チェンジアップを駆使しながら気がつくと勝ち始めて、ついに9勝8敗。借金が多いチームで、隅田には1つ貯金ができた。

当然「もう1つ」も頭にはある。

「運要素もあるのでなんとも言いがたいですけど、自分のやるべきことをしっかりできれば、チャンスはあると思っているので、いつも通り頑張ります」

球団が、ファンが、大いなる歓喜とともに出迎えたドラ1左腕。トップ評価にふさわしい投げっぷりになってきた。【金子真仁】

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