はい上がれ、森下! 不振に苦しむ阪神森下翔太外野手(23)が敵地DeNAで3打席連続で凡退した後、ベンチで悔し涙を流した。

「3番右翼」で先発したが、1点を追う5回無死満塁ではボール球を振らされて空振り三振。岡田彰布監督(65)は「あんな姿みせられへん」と厳しい表情。CSファイナルステージでの3番起用が見込まれるドラフト1位ルーキー。試練を乗り越えられるか。

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森下は大粒の涙をこらえきれなかった。1点ビハインドの5回無死満塁。2打席凡退で迎えた3打席目だった。カウント2-2からワンバウンドした128キロチェンジアップに我慢できず、絶好機で空振り三振。浮かない表情でベンチに戻ると涙を流し、タオルで顔を覆った。佐藤輝と木浪から寄り添われると、先輩の言葉に静かに耳を傾けた。

「納得する打席を送れてない。アウトでも内容のいいアウトにしていきたい」

結局、この打席限りで交代を告げられた。消化試合にもかかわらず、悔し涙を流したルーキー。心身ともに追い込まれているのかもしれない。岡田監督は試合後、悩める若虎について「お客さんにみせられへんよ。はっきりゆうて」と厳しく断じた。レギュラーシーズン残り試合のスタメン剥奪もにおわせた。続けて「ボール球を振って自分で崩れていってる。自分でわからんとあかん」と自らの力による逆襲を求めた。

14日巨人戦で18年ぶりの優勝を決めてから不振が続く。15日広島戦以降は22打席連続無安打。23日ヤクルト戦で猛打賞を記録したものの、その後は15打席連続無安打と再び停滞。27日の中日戦で2安打を放ったが、上昇気流に乗ったようには映らない。指揮官はすでにレギュラーシーズン終了後の“突貫工事”を予告しているが、タイミングが前倒しされる可能性も十分ある。それもこれも、3番森下がチームに欠かせない存在にまで成長したからだ。

この日、森下は泣きやんだ後、ベンチ最前列でナインを鼓舞。最後まで気持ちを切らさなかった。「切り替えて頑張ります」。悔しい経験は成長の糧。涙の数だけ強くなる。【三宅ひとみ】