ありがとう、若大将。巨人原辰徳監督(65)がDeNAとの今季最終戦勝利後のセレモニーでのあいさつで、今季限りでの辞任と、阿部慎之助ヘッド兼バッテリーコーチ(44)に指揮官のバトンを託すことを表明した。監督通算17年目の今季は4位で、2年連続でCS進出を逃した。同一監督の2年連続Bクラスは球団史上初。3年契約の最終年となる来季を待たずに身を引くことになったが、巨人のユニホームを身にまとい、さわやかに、熱く戦い抜いた。思いの丈を伝えた最後のあいさつを、全文でお届けする。

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2023年、10月4日、全日程が終了しました。ちょっと早すぎます。規制もなくなり、たくさんのファンの方にグラウンドに足を運んでいただき、大声で声援、歓声、たくさんいただきました。1年間、本当にありがとうございます。

あらためて、ファンあってのプロ野球、ファンあってのジャイアンツ、本当にそう思いました。本当にありがとうございます。チームは昨年度、Bクラス、「奪回」という目標の中、懸命に戦ってまいりました。先ほどのビデオを見ていると優勝しているかのようなゲームが多い。しかし、道のりは険しいものでした。選手、コーチ、スタッフ、全力で戦い、1つになり、戦いました。しかし力及ばず、成績、みなさんの前で誇れるものはなく、期待に応えることができませんでした。これがひとえに監督である、私の責任です。本当に申し訳ありませんでした。とはいえ、ここにいる選手たち、来年も戦ってくれる選手がたくさんいます。ユニホームに悔しさを刻んで戦い抜きます。今年と変わらない、温かい声援をよろしくお願いします。

これから個人的な話をさせていただきます。

22歳、巨人に入団しました。選手15年、コーチ3年、監督17年。35年、戦い抜きました。現在、65歳。その時々のオーナー、正力さん、渡辺さん、そして現オーナーの山口さん、育てていただき、託していただき、感謝しています。しかし、勝負の世界が厳しいということは当然理解しております。

17年監督をやり、父の教え、最後まで生きたことがあります。考え事、悩み事、心配事。監督になれば増えると。ただし、床に頭をつけたら寝るんだと。どうしても考えたい。そういう時は部屋に電気をつけて椅子に座って考えろと。最後の最後までこの教えは教訓とし、エネルギーとしました。朝はいつも希望に満ちて、よし、今日はやるぞと目覚めた。これがあったからだと思います。球場に来れば勝利、勝つことを考え、最善策とはなんぞや、全力で1日1日、1試合1試合、戦って参りました。このような成績に終わり、山口オーナーとしっかり話しました。

Bクラス確定の夜に、2つの約束をしました。1つは、辞任します。もう1つは若い新しいリーダー、阿部慎之助くんに、チームを託そうと。そういう決断をしました。本当に、ジャイアンツファンの皆さま、そしてベイスターズファンの皆さまも残っていらっしゃいます。野球ファンの皆さま、本当にお世話になりまして、ありがとうございました。

私の心境は1点の曇りもございません。晴れ晴れとした気持ちでバトンを阿部に渡し、マイクも渡します。本当にありがとうございました。

【動画】一時代を築いた名将 巨人原辰徳監督、今季最終戦白星で飾り球団歴代単独1位1291勝