青学大が日大に2連勝で勝ち点を3に伸ばし、勝率で日大を上回り、05年以来の春秋連覇を達成した。広島が1位指名を公表している常広羽也斗投手(4年=大分舞鶴)が、広島を含む11球団スカウトの前で9回5安打1失点で完投。初回に1失点したが、2回から修正し、14度目の優勝に導いた。明治神宮大会(11月15日開幕)への出場を決め、リーグ連覇、全日本大学野球選手権優勝に続く、史上5校目(6度目)の大学4冠に挑む。

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優勝のマウンドには、春に続き常広が立っていた。最後の打者をワンバウンドのフォークで空振り三振に仕留めると、力強く両手でガッツポーズ。「本当はインコースストレートで。ノーバンでガッツポーズをしたかったんですが…でも、うれしいです」。こだわりの男の一面をのぞかせながら、笑顔を見せた。

立ち上がりは苦しい投球だった。「逆球が多くて」と1失点するも、2回からは「それを生かしてストライクゾーンで勝負した」。丁寧に打たせてとり、この日の最速は151キロ。7回以降は「余力があったので」と奪った三振は8。自在な投球を見せつけた。

すでに1位指名を表明している広島は3人体制で視察。苑田聡彦スカウト統括部長は「直球の速さ、伸び、制球力もある。間違いなかった」とうなずいた。

成長の秋だった。今春は大学日本一を達成し、大学日本代表入りも、常広の感覚は違った。「春は思った通りのフォームができなくて。ずっと逃げたいと思っていました」と本音を明かした。

秋に向け、打者を抑えるためのフォーム修正に取り組んだ。春は後ろに体重が乗り、顎が上がりアウトステップ。ボールが高めに抜けた。大学日本代表が終わると約3カ月、ブルペンでサイドスローを取り入れ、力を真っすぐ伝える体の動きを追求。下半身の動きを体で覚え、オーバースローに戻し、地面から力が伝わる感覚をつかんだ。「これで球速がまた上がった。真っすぐの感覚も良くなりました」と成長を実感した。

「(明治神宮大会の)優勝のマウンドに、また立っていられるように頑張りたい」。逃げずに自分自身と向き合い、新たな自分を見つけた。またひとつ大きくなった常広が、再び頂点に挑む。【保坂淑子】