ロッテが崖っぷちから、また試合をひっくり返した。パ・リーグCSファイナルステージ第2戦は、1点を追う9回、安田尚憲内野手(24)の右翼線適時二塁打で同点に追いつくと、さらに1死三塁で代打・山口航輝外野手(23)が決勝中犠飛。延長戦で3点差を逆転サヨナラ勝ちしたファーストステージ第3戦同様、土壇場でドラマを作り、対戦成績を1勝2敗(オリックスのアドバンテージ含む)とした。

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ファーストステージ突破を決めるサヨナラ打を放った“スーパー安田”が、再び難敵に一撃を見舞った。4-5で迎えたロッテのラストバトル。9回無死二塁。ファウルで6球。ボール球にも手を出さない。オリックス山岡の10球目。決め球の縦スライダーを力強く捉えた。打球は一塁ベースに当たって大きく跳ね、右翼線へ。「最後まで粘って粘って勝ち抜けた試合。良いところで打てて良かった」。喜び以上に、戦い続ける鋭い表情のままだった。

二走・和田の本塁生還を見届けると、力強くガッツポーズ。小川を代走に送られ、お役御免。「チーム一丸で、こういう試合が出来ることを自信に。まだリードされている立場は変わらない。明日勝って五分に」。ベンチに戻り、仲間の手荒い祝福を浴びた。

茶谷の犠打で1死三塁。スタメンを外れ、用意周到に剣を磨いていた山口が登場だ。今季は30本塁打を目標に掲げたが、14発。「シーズンはしょうもない成績」と強い責任感から悩みに悩み中。追い込まれてもスライダーに食らい付き決勝の中犠飛。「自分のやるべきことは出来た」と安堵(あんど)した。

ロッテの未来も担う2人。期待に応えようと必死にもがいた努力が結実した。安田は10月に入り、福浦ヘッド兼打撃コーチの助言で腕と体にゴムチューブを巻いて打撃練習。“スーパー安田”養成ギプスだ。「上半身の力を抜いて振れるようになった」と手応えを得つつある。山口も村田打撃コーチから「遊び心で」と助言を受け、この日はフリー打撃の1セット5スイング中、最初の4スイングは脱力で振り、体も心も力みを消した。

山口は「若手がしっかり勢いつけていかないと。厳しい戦いは乗り越えてきたと思うので、そういう力はロッテのほうがあるんじゃないかと思う。ずっと1つになって戦っている」。若き主砲2人が、オリックスにまだまだ食らい付く。【鎌田直秀】

▼ロッテがシーソーゲームを制した。リードを奪った回数はロッテが3度、オリックスが2度。逆転劇が4度ある形勢5転(先制を1転とする)の試合はプレーオフ、CSで史上初。日本シリーズでも形勢5転以上は92年ヤクルトが対西武<6>戦で逆転5度の形勢6転試合に勝った1度だけだ。

▼ロッテがアドバンテージの1敗を含め1勝2敗とした。日本シリーズ出場をかけたプレーオフ、CSで、0勝2敗(81年ロッテの●△●を含む)の劣勢から1勝したのは、17年DeNA(対広島)以来10度目。過去9度のうち、17年DeNAだけが突破している。05年ソフトバンク、08年日本ハム、11年ヤクルト、14年日本ハム、17年DeNAは2勝2敗のタイに持ち込んだが、ロッテはどうか。

▽ロッテ村田打撃コーチ(2安打3打点と大活躍の安田に)「そのまま続けていってほしいし、来年は開幕戦から“よろしく”って言っている」

▽ロッテ益田(1点差の9回を締め)「いつも通り先頭だけをしっかり取っていこうと思ったので、初球から良い球を投げられた。ソフトバンク戦の逆転から勢いがついてきている」

▽ロッテ岡(6回2死一、二塁、左前への当たりで二塁打にした走塁について)「(送球が)二塁直送だったら戻る、中継だったらそのまま行くというイメージだった。(判断は)弾む球場なのでワンバウンドしてヒットになった瞬間です」

 

 

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