阪神は1位で青学大・下村海翔(かいと)投手(4年=九州国際大付)の指名権を獲得した。身長174センチと小柄ながら最速155キロの直球やカットボールが武器で、目標に今季大ブレークした村上頌樹投手(25)を掲げる。兵庫・西宮市出身の虎党右腕の1本釣りに成功した岡田彰布監督(65)はしてやったり。意気揚々とあす28日開幕の日本シリーズに臨む。

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岡田監督は23年ドラフトをえびす顔で総括した。「100点でええよ」。1位指名の青学大・下村を筆頭に大卒、独立リーグ、社会人出身の即戦力右腕4人に、右打ちで遊撃も守れる高卒の内野手2人を指名した。「最初から(投手)4、(内野手)2は予定通りやったから。(右腕4人で)今年に関しては左(投手)はいらんかったからな」と終始笑顔で振り返った。

中でも会心のヒットは下村の一本釣りだ。岡田監督がオリックス時代も含めて1勝8敗だった競合での抽選を避け、単独指名に成功。最終的には当日の昼に決断したというが前日までは中大・西館が有力視されており、意表を突く形となった。「他球団の動向というか、大体思った通り。相手の出方も(みて)な、うまいことくぐり抜けるというか。そういうのを考えてズバリハマまった」。策士ぶりが決まってニンマリだ。

下村については“村上2世”と期待する。「上背はないけど、今年ブレークした村上に似たタイプ。カットボールがエグいと聞いてる。(広島1位の青学大・常広と比べて)遜色ないという評価も聞いていた」と説明。「投手王国というかね、そういうピッチャー陣の中に入ってどんどん投げてほしい」。先発、中継ぎかについては「そら、見てからよ」と期待を込めた。

4日前の“伏線”を回収した。22日の甲子園での練習後に、ドラフト1位について「どっちみち関西やから、ドラフトは。あっ!」と口をふさぐしぐさをみせていた。そしてこの日「西宮(出身)やろ? 関西の選手やん。それでも誰も(記事)書かんかったけどな。それがわからんようではな」と笑い飛ばした。

2位以下も個性派がそろった。2位指名の最速159キロ右腕の四国IL・徳島の椎葉については「(速球が)魅力や。めっちゃ評価高かったよ。『残っとけ、残っとけ』思ってた」。3位の仙台育英・山田、4位の東海大熊本星翔・百崎と右投げ右打ちの高校生内野手を2人指名。「右投げ左打ちいうのが多いからな。ショート守れとったら他のところでつぶしがきくからな」。5位のJR西日本・石黒、6位の大経大・津田の両右腕も「いこうとしてるのが残ってたからいった」と予定通り指名。満点ドラフトでリーグ連覇への手応えばっちり。気分よく27日の監督会議を経て、28日開幕の日本シリーズに向かう。【古財稜明】