阪神近本光司外野手(28)が、中押し打を含む3安打2打点の活躍で白星発進に導いた。1点を先制した直後の5回2死一、二塁。オリックス山本の甘い156キロ直球を強振。打球は右中間をぶち破り、快足を飛ばして一気に三塁へ。クールに三塁ベンチに左手の人さし指を向けると、敵地はお祭り騒ぎに包まれた。

「(先制して)気持ち的にはすごい楽でした。自分自身もいい流れに乗ることができたと思います」

リベンジを決めた。3月の侍ジャパンの強化試合では山本から右越えの1発を放ったが、6月13日の交流戦では4の0でチームも完敗した。そして迎えたこの日の再戦。広島とのCSファイナルステージ3試合は通算11打数1安打2打点で、低調な打撃も心配されたがそんな不安も一掃した。

近本はボールを最後まで見送らない。際どいコースを突かれても、捕手のミットに収まるまでボールを見届けることはない。「できるだけ判断が早い方がいい。(投手と打者の)真ん中くらいからストライクゾーンができているので。(ホーム付近まで)見る必要はない」。投手のリリースポイントから中間の9メートル付近までの間に判断を下す。岡田監督も過去に「打つポイントを過ぎたら見る必要はない。ええバッターは大体そこで見切っとるよ」と話していた。プロでの経験で身につけた打撃スタイルで、難敵攻略につなげた。

4回先頭では遊撃への内野安打、9回にはセンター右への二塁打で猛打賞。サイクルヒットまであと本塁打のみを残す暴れっぷりだ。自身初出場の日本シリーズは最高の船出となった。【古財稜明】

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