日本ハムから戦力外となった姫野優也投手(26)が現役引退を決断した。第2の人生は「来年から、中田翔さんの個人マネジャーをします」。日本ハム時代から慕い、今オフに巨人から中日へ移籍した大先輩のもとで再出発を決めた。

15年ドラフト8位で大阪偕星学園から外野手として日本ハム入りした姫野は、20年1月から中田と合同自主トレに参加。ここから関係性が深まった。

「見た目はやっぱなんて言うんですか…もっと怖いというか、勘違いされやすい…なのに、話し方1つにしても、やっぱ優しい。何をしていてもマネしたくなったりとか、本当かっこいいなって。僕の中ではもう『一生、付いていこう』って決めました」

プロ入りと同時にスイッチヒッターに挑戦し、20年シーズン終了後には育成再契約。21年6月には投手転向し、最速156キロをマークするなど期待されたが、22年3月16日の西武とのオープン戦(ベルーナドーム)で先発も1回3安打2四球5失点。これが最初で最後の“1軍登板”となった。そんな激動のプロ野球人生を送る中で、中田は常に寄り添って、いつも前向きな言葉をかけ続けてくれていた。

ある年の合同自主トレで、そんな優しき先輩の秘めていた思いを知った。「食事の時に“お前、もし野球人生が終わった時には、俺が一生、面倒見たるから”と言ってくださって」。親身になって自分のことを考えてくれていることが、うれしかった。

「小さい頃からあこがれていましたし、男がほれる男ってなかなかいないですけど、僕にとってはそれが中田さんだなと」

NPBでの現役続行を目指して11月には12球団合同トライアウトに参加も吉報は届かず、プロ野球人生に区切りを付けた。“オファー”してくれていた中田にお世話になることを決めた。

「僕は野球以外で社会に出たことがないので、1日でも早く社会を知れるように1つ1つ吸収していって、中田さんの顔に泥を塗らないようにしたい」

新天地へ戦いの場を移した中田の伴走者として、新たな人生を歩み出す。【木下大輔】

◆姫野優也(ひめの・ゆうや)1997年(平9)4月2日生まれ、大阪府出身。小学時代は水泳平泳ぎでジュニア五輪出場。高校は天理(奈良)を1年春に中退し、大阪偕星学園に編入。投手も務め、初出場した3年夏の甲子園では1番中堅で2回戦の九州国際大付戦で本塁打を放った。15年ドラフト8位で外野手として日本ハム入団。18年に1軍で2試合に出場したが、4打数無安打。以後は1軍戦出場なし。21年から育成契約となり、同年6月に投手登録へ変更も支配下選手登録はならなかった。23年10月に戦力外通告を受け、現役引退。184センチ、96キロ。右投げ右打ち。