ソフトバンクが西武から国内FA権を行使した山川穂高内野手(32)との入団交渉で大筋合意したことが13日、分かった。この日、ソフトバンク側と山川の代理人が交渉を行った模様。条件は出来高込みの4年総額20億円で、近日中に山川本人も同席し、最終交渉に臨む。来週にも「鷹の山川」が正式発表される見込みとなった。今季は不祥事で17試合出場に終わったが、ソフトバンクは調査を重ねた上で、右の長距離砲獲得を決断した。

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山川のソフトバンク入りが秒読み段階に入った。この日、球団はペイペイドームで大関ら5選手の契約更改交渉を行ったが、水面下で山川の代理人とも接触。出来高込みの4年総額20億円の条件で、FA加入することが大筋合意に達したことが分かった。近日中に本人も同席して最終交渉を行い、契約に至る模様。かねて移籍は確実とされてきたが、約1カ月の時間をかけ、来週にも「ホークス山川」が正式に発表される。

山川は3月のWBCで世界一メンバーになったが、5月に強制性交容疑で書類送検され、8月末に嫌疑不十分で不起訴処分になった。それでも西武は9月に入り、公式戦出場停止処分を通達。山川は非公式戦のみやざきフェニックス・リーグに出場したが、処分はまだ解除されていない。今季は1軍出場17試合のみ。その状況下で、11月14日にFA権行使を表明していた。

FA宣言を受けてソフトバンク三笠杉彦取締役GM(49)は「(不祥事の)事案についてしっかりと調査するというのが、まずは我々がやらなければならないこと」と話していた。後藤芳光球団社長兼オーナー代行(60)も以前に「議論がされそうなテーマについては、会社として調査しないといけない」と言及。事の重大さを考慮し、ソフトバンク側はFA宣言から約1カ月に及ぶ入念な調査を行ってきた。その結果を総合的に勘案し、獲得に動くことを正式に決断。山川の代理人とは複数回、交渉を重ねていたとみられる。

現状の打線は柳田、近藤、栗原ら左の強打者が多くそろう。右打ちで本塁打王3回と打点王1回を誇る右の長距離砲は4年ぶりV奪回を目指すチームの補強ポイントに合致する。18、19年は西武の「山賊打線」の4番としてパ・リーグ連覇に貢献。それぞれ47本塁打124打点、43本塁打120打点と圧倒的な成績を残した。ソフトバンクは懸案事項だった不祥事を精査した上で、破壊力十分の打撃も健在で得点力アップが期待できると最終判断した。

山川サイドは今後、宣言残留を認めている西武に連絡を入れ、ホークス入団を決めるとみられる。今年のプロ野球界に大きな波紋を呼んだ獅子の背番号3。注目の去就が大詰めを迎えた。

◆山川穂高(やまかわ・ほたか)1991年(平3)11月23日生まれ、沖縄県出身。中部商-富士大を経て、13年ドラフト2位で西武入団。18年は全143試合で4番を務め、47本塁打で初タイトルとMVPを獲得。19年にも本塁打王、22年は本塁打と打点の2冠に輝いた。今春の第5回WBCでは大谷翔平らと栗山ジャパンの世界一に貢献した。書道八段の特技も。176センチ、103キロ。右投げ右打ち。

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